オクトネホシクサ

オクトネホシクサ (Paepalanthus kanaii Y.Satake)

オクトネホシクサは、イネ目ホシクサ科に属するパエパランツス属の植物です。この種は1959年に群馬県の平ケ岳付近で金井弘夫によって発見され、1978年に佐竹義輔によって正式に記載されました。オクトネホシクサは標高900m付近に自生し、記載にあたっての標本は東京大学総合研究資料館に保存されています。しかし、発見から数年後の矢木沢ダムの建設により、発見地は水没してしまったため、その後の現地調査では確認されていません。2020年の時点で、環境省のレッドデータブックでは情報不足（DD）に分類されており、絶滅種とは見なされていませんが、その生態は明らかにされていません。

特徴

オクトネホシクサは多年生の植物と考えられています。根茎は直径約2cmで、葉は5～7cmの長さがあり、基部の幅はおおよそ5mmです。その葉は両面および辺縁に毛が生えた特徴を持っています。花は雄花と雌花があり、雄花の花弁は3枚で、裂片には腺や毛は存在しません。雄蕊は3個体で構成され、漏斗状の花弁の底には棍棒状の先端を持つ退化した雌蕊が3分岐しています。

雌花についても同様に花弁は3枚であり、花柱の先端は2～3mmの長さの3分岐となっています。それぞれの分岐には柱頭が付いており、花柱の基部には3個の棍棒状の花柱付属物があります。これらの特徴により、オクトネホシクサは日本から記録されているホシクサ属ではなく、主に中南米やアフリカに分布するパエパランツス属に属することが示唆されています。しかしながら、既に記載されている他の400～500種との詳細な比較研究は行われていません。

分類上の謎

オクトネホシクサが属するパエパランツス属には、アメリカ大陸からアフリカ、マダガスカル島にかけて480種が存在しますが、アジアにおいては本種が唯一の記録です。このように、オクトネホシクサは非常に希少な植物であり、分類上の位置付けには未解決の謎が多く、他の種との関連性の検証が待たれています。

このようにオクトネホシクサは発見以来、多くの謎を抱えた植物であり、その生態や特徴、分布などについての研究が求められています。希少な植物とのため、保護や研究が必要とされる存在です。

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