オクトリカブト

オクトリカブト（奥鳥兜）

オクトリカブト（学名：Aconitum japonicum subsp. subcuneatum）は、キンポウゲ科トリカブト属に属する多年草です。別名アイズトリカブトとも呼ばれ、本州の東北地方に広く分布するトリカブトとして知られています。有毒植物であり、注意が必要です。

特徴

オクトリカブトは、以下のような特徴を持ちます。

形態: 地下には径1-3cmの塊根があり、茎は直立または斜上し、高さは60-200cm、時に300cmを超えることもあります。茎の上部には屈毛が生えています。
葉: 中部の茎葉は腎円形で、長さ7-15.5cm、幅8.5-19cm。5-7浅裂から中裂し、裂片はさらに羽裂します。葉質はやや厚く、裏面の葉脈が隆起しています。
花: 花期は8-10月。花序は長さ8-20cmで、散房花序または円錐花序をなし、3-10個ほどの青紫色から菫色の花をつけます。花柄には下向きの屈毛が密生しています。花弁に見えるのは萼片で、上萼片が特徴的な兜状をしています。
果実: 長さ16-25mmの袋果をつけます。

分布と生育環境

オクトリカブトは日本固有種であり、北海道の道南地方から本州の新潟県・群馬県以北の日本海側に分布しています。低地から山地帯の草原、林内、林縁などに生育し、時には高山草原にも見られます。

名前について

和名の「オクトリカブト」は、「奥鳥兜」を意味し、タイプ標本の採集地である青森県八甲田山が「陸奥」（みちのく）と呼ばれていたことに由来するとされます。

分類

オクトリカブトは、ヤマトリカブトを基本種とする亜種群に属します。花弁の形状や花の咲き方などから、さらに細かく分類されています。類似種との識別には、葉の形や毛の生え方などが重要なポイントとなります。

ヤマトリカブト類

花柄と上萼片に屈毛が生えるグループ。

ヤマトリカブト（Aconitum japonicum subsp. japonicum）
オクトリカブト（Aconitum japonicum subsp. subcuneatum）
ツクバトリカブト（Aconitum japonicum subsp. maritimum）
イヤリトリカブト（Aconitum japonicum subsp. maritimum var. iyariense）
イブキトリカブト（Aconitum japonicum subsp. ibukiense）
タンナトリカブト（Aconitum japonicum subsp. napiforme）

毒性

オクトリカブトは有毒植物であり、全草にアルカロイド系の毒を含んでいます。特に根に毒が多く、誤って摂取すると神経麻痺や呼吸困難を引き起こす可能性があります。山菜と間違えて食べたりしないように注意が必要です。

ギャラリー

(ギャラリーの画像は省略)

参考文献

梅沢俊著『新北海道の花』、2007年、北海道大学出版会
加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年、東海大学出版会
門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花（増補改訂新版）』、2013年、山と溪谷社
大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 2』、2016年、平凡社
牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館

外部リンク

オクトリカブト、コトバンク
* オクトリカブト、林野庁東北森林管理局

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