オシ (囲碁)

囲碁における「オシ」

囲碁における「オシ」は、自身の石と相手の石が斜めの位置関係にある際に、両方の石に隣接するように打つことで、相手の石を押し込むようにして自らの勢力範囲を拡大する手法です。動詞では「押す」と表現します。

例えば、以下の図のように、黒1と黒3が「オシ」の典型的な例です。


[図：黒1,3がオシの例]

オシアゲとソイアゲ

特に、「オシ」が現れる場所が盤端近くで、押す方向が盤の中央である場合、「オシアゲ」や「ソイアゲ」という用語が使われることがあります。以下の図では、左側の黒1が「オシアゲ」、右側の黒1が「ソイアゲ」の例です。


[図：オシアゲとソイアゲの例]

「ハイ」と「オサエ」

「オシ」という用語は、自身の石が盤の中央方向へ向かう場合に多く用いられます。相手の石の下の線に打つ場合は「ハイ」（這い）、盤端に向かう場合は「オサエ」あるいは「オサエコミ」という言葉が用いられます。ただし、これらの用語には明確な定義はなく、局面やニュアンスによって使い分けられます。


[図：ハイとオサエの例]

格言「車の後押し」

囲碁には「車の後押し」という格言があります。これは、相手の石を際限なく押し上げていく行為が、結果として相手の勢力圏を拡大させてしまうことを指し、多くの場合、好ましくないとされています。相手の勢力拡大を手助けするような打ち方を、「車の後押し」と揶揄します。「車の後押しヘボ碁の見本」とも言われます。


[図：車の後押しの例]

「押す手なし」

「押す手なし」という囲碁用語も存在しますが、これは上記で説明したような「押す」という意味とは異なり、ダメを詰めることができない状況を指します。例えば、以下の図のような攻め合いの状況では、両者ともダメが2つずつありますが、白はaにもbにもダメを詰めることができません。このままでは、白の△の2子が取られてしまいます。


[図：押す手なしの例]




このように、「オシ」は囲碁において重要な戦略の一つですが、状況をよく判断し、安易に「押す」ことがないように注意する必要があります。

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