オズヴァルト・カバスタ

オズヴァルト・カバスタは、19世紀末にオーストリアで生まれた指揮者です。彼は、その音楽的才能と情熱で、20世紀前半の音楽界に大きな足跡を残しました。

生涯

1896年、ニーダーエスターライヒ州のミステルバッハで誕生したカバスタは、幼い頃から音楽に親しみ、ウィーン音楽大学でフランツ・シュミットやヨーゼフ・マルクスといった著名な音楽家に師事しました。在学中には、ウィーンの聖レオポルド教会の聖歌隊指揮者を務めるなど、早くからその才能を発揮しました。

1921年にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮し、その後、バーデン市立歌劇場、グラーツ歌劇場で音楽監督を歴任。1933年からはウィーン交響楽団の首席指揮者に就任し、1935年にはウィーン楽友協会の音楽監督も兼任するなど、目覚ましい活躍を見せました。また、1931年から1935年まで母校のウィーン音楽大学で後進の指導にもあたり、エーリヒ・ラインスドルフなど、多くの有能な指揮者を育てました。

特に、ウィーン交響楽団の首席指揮者時代には、師であるフランツ・シュミットのオラトリオ《7つの封印の書》を初演したことは、カバスタの音楽家としての功績を語る上で欠かせません。

しかし、1938年、カバスタはミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任した際、ナチス党に入党しました。このことが、彼の運命を大きく狂わせることになります。

第二次世界大戦終結後、カバスタは過去のナチス党員であったことが問題視され、連合国軍から一切の演奏活動を禁止されてしまいます。音楽家としての活動の道を閉ざされたカバスタは、失意のうちに1946年、妻とともに服毒自殺という悲劇的な結末を迎えました。

音楽的特徴

カバスタの指揮は、情熱的で力強く、ロマンティックな表現を得意としていました。特に、後期ロマン派の作品の演奏に定評があり、その音楽解釈は、多くの聴衆を魅了しました。また、合唱指揮者としても優れた手腕を持ち、教会音楽の演奏にも力を注いでいました。

評価

オズヴァルト・カバスタは、20世紀前半のオーストリアを代表する指揮者の一人として、音楽史に名を残しています。その才能と情熱は、多くの人々に感銘を与えましたが、ナチス党員であったという過去は、彼の音楽家としての評価を複雑なものにしています。しかし、彼の残した音楽は、今日でも多くの人々に愛され続けています。

参考文献

Kabasta, Oswald. In: Österreichisches Biographisches Lexikon 1815–1950 (ÖBL). Band 3, Verlag der Österreichischen Akademie der Wissenschaften, Wien 1965, S. 162.

外部リンク

Oswald Kabasta biography

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