オゼッラ・FA1C

オゼッラ・FA1C：栄光と悲劇を刻んだマシン

オゼッラ・スクアドラ・コルセが1981年のF1世界選手権に投入したオゼッラ・FA1Cは、フォーミュラ1の歴史に特筆すべき足跡を残したマシンです。設計を手掛けたのは、才能あるデザイナー、ジョルジオ・ヴァレンティーニ。この車両は1981年から1982年にかけて15戦に参戦し、オゼッラのF1参戦において初のポイント獲得という歴史的偉業を達成しました。しかし、その輝かしい記録の裏には、ドライバー、リカルド・パレッティの悲劇的な事故死という影も潜んでいます。

開発：進化したモノコック構造

FA1Cは、それまでのアルミ製セミモノコック構造から、より高度な完全なアルミニウム製モノコック構造へと進化を遂げました。ヴァレンティーニの設計思想は、空気の吸引効果を最大限に高めることにありました。そのため、車体は前作に比べて大型化されています。一方で、シャシーとエンジンは前作と同様、信頼性の高いコスワースDFVエンジンを搭載しました。この組み合わせが、FA1Cの高いポテンシャルを支えました。

レース戦績：デビューから悲劇の事故まで

FA1CのF1デビューは1981年、イタリアグランプリでした。ステアリングを握ったのはジャン＝ピエール・ジャリエで、チームメイトのベッペ・ガビアーニは前モデルのFA1Bを継続使用しました。デビュー戦でジャリエは9位で完走し、チームに明るい兆しを見せつけました。しかしながら、続くレースではリタイアが続き、期待されたほどの成果は得られませんでした。

1982年シーズン、FA1Cはフランスグランプリまで使用されました。ドライバーはジャリエと、イタリア人ルーキーのリカルド・パレッティ。ジャリエは安定した走りで3度の完走を果たし、サンマリノグランプリでは4位入賞という好成績を収めました。このレースはFOCA（フォーミュラ・ワン・コンストラクターズ・アソシエーション）系のチームが多数ボイコットしたため、14台という少数のマシンしか参加していませんでした。一方、パレッティは予選落ちが8回と苦戦を強いられ、予選通過はわずか3回でした。そして、カナダグランプリで悲劇が起こりました。パレッティはディディエ・ピローニのフェラーリに追突し、事故死してしまいました。この事故は、F1界に大きな衝撃を与え、FA1Cの戦いを暗く彩るものとなりました。

オランダグランプリからはチームは1台体制に縮小。その後、FA1Dへとマシンが更新されました。FA1Cは、短期間の参戦でしたが、オゼッラにとって最初のF1ポイントを獲得したマシンであり、同時にチームにとって大きな損失をもたらしたマシンとして、F1の歴史に深く刻まれています。

参考文献

Adriano Cimarosti: Das Jahrhundert des Rennsports. Autos, Strecken und Piloten. Motorbuch-Verlag, Stuttgart 1997, ISBN 3-613-01848-9.（ドイツ語）
David Hodges: Rennwagen von A–Z nach 1945. Motorbuch-Verlag, Stuttgart 1994, ISBN 3-613-01477-7.（ドイツ語）
David Hodges: A–Z of Grand Prix Cars. Crowood Press, Marlborough 2001, ISBN 1-86126-339-2.（英語）
Pierre Ménard: La Grande Encyclopédie de la Formule 1. 2. Auflage. Chronosports, St. Sulpice 2000, ISBN 2-940125-45-7.（フランス語）

外部リンク

Osella FA1C @ StatsF1
Racing Sports Cars - Photos of Osella FA1C

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