オットー1世 (シュヴァーベン大公)

シュヴァーベン公オットー1世：激動の時代を生きた公爵

シュヴァーベン公オットー1世（954年 - 982年）は、リウドルフィング家の一員として、その短い生涯を激動の時代の中で駆け抜けました。彼はシュヴァーベン公（973年 - 982年）とバイエルン公（976年 - 982年）を兼任し、神聖ローマ皇帝オットー1世の孫という恵まれた出自を持ちながらも、常に政治的な駆け引きと戦乱に身を置いていました。

生涯

オットー1世は、シュヴァーベン公リウドルフとその妻イダの間に生まれました。父リウドルフは皇帝オットー1世と最初の妃エドギタの息子であり、オットー1世は皇帝の孫にあたります。しかし、957年に父リウドルフが死去した時、オットーはわずか3歳でした。そのため、祖父である皇帝オットー1世の宮廷で養育されることになります。

皇帝は孫のオットーを養子として扱い、自身の後継者であるオットー2世（955年生まれ）のそばに置きました。オットー2世はオットー1世を「甥であり兄弟」と表現しており、両者の関係が非常に親密であったことを示唆しています。

973年、シュヴァーベン公ブルヒャルト3世が後継者を残さずに死去すると、皇帝オットー2世は19歳のオットー1世をシュヴァーベン公に任命しました。父リウドルフもかつてシュヴァーベン公であったことから、オットー1世の任命はリウドルフィング家にとって名誉回復の意味合いもあったのかもしれません。オットー1世は皇帝オットー2世の親しい友人として、その治世を支えることになります。

976年、バイエルン公ハインリヒ2世が反乱を起こし、捕らえられていたにも関わらず追放されるという事件が起こります。皇帝はオットー1世をバイエルン公にも任じました。これは、中世ドイツにおいて二つの公位を同時に保持した最初の事例となりました。ケルンテン公位とノルトガウ辺境伯位もハインリヒ2世から剥奪されましたが、これらはオットー1世には与えられず、以降ケルンテンとノルトガウはバイエルンから分離されることになります。

977年、皇帝の遠征中に「三ハインリヒの反乱」が発生します。これは、前バイエルン公ハインリヒ2世、アウクスブルク司教ハインリヒ1世、ケルンテン公ハインリヒ1世による大規模な反乱でした。オットー1世は反乱鎮圧に加わり、パッサウで反乱軍を包囲します。また、皇帝軍に合流するためプルゼニ近郊を移動していたバイエルン軍が、ボヘミア公ボレスラフ1世の奇襲を受けた際、オットー1世が軍を派遣して支援したと考えられています。

980年、オットー1世は皇帝の南イタリア遠征に従軍し、東ローマ帝国やシチリア首長国との戦いに参加しました。彼は982年7月13日/14日のスティーロの戦いとその後のアラブ軍による奇襲を生き延びます。そして、遠征の結果をドイツに報告する役目を任されましたが、その帰路の途中、戦で受けた傷が原因で、10月31日または11月1日にルッカで死去しました。父リウドルフもアルプスの南で亡くなっており、オットー1世の死はリウドルフィング家にとって大きな痛手となりました。

オットー1世の遺体はアシャッフェンブルクの聖ペテロおよびアレクサンダー修道院教会に運ばれ、埋葬されました。この教会はオットー1世が多額の寄進を行っていた場所でした。彼の死は「アングロサクソン年代記」にも記録されており、その影響力の大きさを物語っています。

オットー1世の姉マティルデは、宝石で飾られた貴重な十字架「オットーとマティルダの十字架」を寄贈しました。この十字架は現在、エッセン大聖堂宝物館に保管されています。

オットー1世は生涯独身であり、子供はいませんでした。彼の死後、シュヴァーベン公位はコンラディン家のコンラート1世に、バイエルン公位はルイトポルト家出身のハインリヒ3世に与えられました。その後、バイエルン公位は再びハインリヒ2世に戻されています。

オットー1世は、短い生涯の中で数々の功績を残しましたが、若くして亡くなったため、その潜在能力を十分に発揮することができませんでした。しかし、彼の存在は、当時の政治情勢や社会構造を理解する上で重要な手がかりとなります。

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