オドゥル人

オドゥル人：ユカギールの一派

オドゥル人は、ロシア連邦のサハ共和国、コリマ川上流のネレムノエに居住するユカギール人の一派です。彼らは主にロシア語とコリマ・ユカギール語を話し、伝統的な狩猟採集生活を営んでいます。「オドゥル」という言葉は、ユカギール語で「強い」または「力強い」という意味を持ち、その名の通り、厳しい自然環境の中で生き抜いてきた人々の力強さを象徴しています。また、「南部ユカギール」「タイガ・ユカギール」「コリマ・ユカギール」とも呼ばれることがあります。

ユカギール人との関係

17世紀にロシアによる植民地化が始まる以前、ユカギール人は12の部族に分かれていました。その部族とは、アライ人、コヒメ人、アナウル人、ラブレン人、オリュベン人、オモック人、ホディン人、ホロモイ人、ショーロンボイ人、ヤンディン人、ヤンディル人、ペンジン人です。さらに、コンギエニシ人やシェラギ人といった部族も存在したとされています。

しかし、これらの部族のほとんどは、伝染病の蔓延やロシアの植民地政策の影響により絶滅してしまいました。オドゥル人は、コヒメ人の末裔であると考えられています。2002年にロシアで行われた国勢調査では、ユカギール人としてオモック人、アライ人、ヴァドゥル人（ツンドラ・ユカギール語の話者）、オドゥル人、ハンガイト人、デトキル人の存在が確認されました。2010年の時点で、生き残った部族はヴァドゥル人、オドゥル人、そしてチュヴァン人の3部族のみとなっています。

伝統的な生活様式

オドゥル人は、伝統的に狩猟と漁撈を中心とした生活を送ってきました。彼らは、トナカイやヘラジカなどの動物を狩り、コリマ川とその支流で魚を獲ることで生計を立てています。また、ベリー類やキノコなどの野生植物も採取し、食料として利用しています。厳しい自然環境の中で生き抜くために、彼らは自然に対する深い知識と経験を持ち、それを世代から世代へと受け継いでいます。

言語と文化

オドゥル人は、コリマ・ユカギール語という独自の言語を話します。この言語は、ユカギール語族に属し、ツンドラ・ユカギール語と近い関係にあります。しかし、ロシア語の影響も強く受けており、多くの人々がロシア語も話します。彼らの文化は、自然に対する畏敬の念と、共同体意識の強さが特徴です。伝統的な歌や踊り、物語などを通じて、彼らは自分たちの歴史と文化を次世代に伝えています。

現代社会との関わり

現代社会において、オドゥル人は伝統的な生活様式を維持しながらも、新しい文化や技術を取り入れています。彼らは、学校に通い、現代的な医療を受け、インターネットを利用するなど、現代社会に適応しようと努力しています。しかし、伝統的な生活様式や文化を守ることの重要性も認識しており、その両立を目指しています。

関連情報

• - ユカギール人
• - ヴァドゥル人
• - チュヴァン人

オドゥル人は、厳しい自然環境の中で生き抜いてきたユカギール人の一派であり、独自の言語と文化を持っています。彼らは、伝統的な生活様式を維持しながらも、現代社会に適応しようと努力しており、その姿は、現代社会における少数民族のあり方を考える上で重要な示唆を与えてくれます。

もう一度検索