オドロキ桃の木騒動記

『オドロキ桃の木騒動記』とは

テレビドラマ『オドロキ桃の木騒動記』（よみ：おどろきもものきそうどうき）は、1970年4月13日から同年5月18日にかけて、日本テレビ系列の放送枠「ファミリー劇場」にて放映された作品です。全6話で完結したこのドラマは、東京映画と日本テレビの共同で制作されました。ジャンルとしては、大家族の日常を描くホームドラマに分類されます。この「ファミリー劇場」という枠は、その名の通り、家族揃って楽しめるような、明るく健全なドラマを放送する目的で設けられていました。

あらすじとテーマ

物語の中心となるのは、三世代にわたる大家族です。厳格な規範を重んじる明治生まれの祖父、どこか保守的ながら家族を支えようとする大正生まれの父親、そして新しい時代を生きる4人の子供たちが共に暮らす家庭が舞台となります。それぞれの世代が持つ価値観やライフスタイルは大きく異なり、そこから生じるギャップが、日常の様々な場面で衝突や誤解を引き起こします。しかし、これらの出来事は単なる対立としてではなく、ユーモアを交えながら、家族ならではの温かさや絆が描かれています。子供たちの進路、友人関係、恋愛といった個人的な問題から、家庭内のルールや慣習を巡る意見の相違まで、多岐にわたる「騒動」が巻き起こります。これらの騒動を通じて、登場人物たちは互いを理解し、家族としての結びつきを深めていきます。1970年という時代は、日本が高度経済成長期にあり、社会構造や家族の形が変化しつつありました。本作は、そのような時代背景の中で、伝統的な大家族が抱える問題や、移り変わる価値観との向き合い方を、コメディタッチで描き出しています。

キャスト

本作には、当時のテレビドラマ界で活躍していた個性豊かな俳優陣が出演しています。主な出演者としては、進藤英太郎、新克利、勝呂誉、関口宏といった面々が名を連ねています。特に、実生活でも兄弟である松山英太郎氏と松山省二氏（後に松山政路と改名）が、ドラマの中でも兄弟役を演じたことは、放送当時、視聴者の関心を引きました。実の兄弟ならではの自然な空気感や掛け合いが、ドラマに独特のリアリティと魅力を加えています。その他、松本めぐみ、横山リエ、富山真沙子、高千穂ひづる、佐藤英夫など、物語を彩る俳優たちが出演し、個性的なキャラクターたちに命を吹き込みました。

スタッフ

制作を支えたスタッフ陣も、日本テレビドラマの歴史に名を残す顔ぶれです。原作は、数々の時代劇やホームドラマを手掛けた野上竜雄氏。脚本は、大西信行氏と鶴島光重氏が担当し、登場人物たちの個性を活かした軽妙なセリフ回しと、騒動の中にも人間味あふれる温かさのある物語を作り上げました。監督は山田達雄氏が務め、大家族の賑やかな日常と、その根底に流れる家族愛を丁寧に演出し、アットホームな雰囲気を醸し出しました。制作は、東京映画と日本テレビが共同で行いました。

まとめ

『オドロキ桃の木騒動記』は、全6話という短い放送期間ながらも、異なる世代が共に暮らす大家族のリアルな姿と、そこから生まれる騒動をユーモラスかつ温かく描いたホームドラマです。世代間のギャップや価値観の違いから生じる衝突を描きながらも、家族の絆や愛情の尊さを再確認させてくれる作品として記憶されています。特に、実の兄弟俳優である松山英太郎と松山省二の共演は、本作の大きな魅力の一つと言えるでしょう。昭和のホームドラマです。

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