オニグモ

オニグモ（鬼蜘蛛、Araneus ventricosus）

オニグモは、クモ目コガネグモ科に属する大型のクモで、主に日本全域で見られます。正式な学名はAraneus ventricosusであり、1878年にL. Kochによって記載されました。その特徴的な外見や生態から、多くの人々に親しまれている生物ですが、非常に多様性があり、個体ごとに外観が異なることもあります。

特徴

オニグモの特徴は、全体的に強い印象を与える体つきです。雌は体長が約30ミリメートル、雄は約20ミリメートルほどで、背甲の色は黒褐色から赤褐色の範囲で、歩脚には暗い色の輪紋が見られます。特に、雌の背甲は中程度に盛り上がり、頭部と胸部の区切りが目を引きます。オニグモは8つの眼を持ち、中央4眼が四角形を形成し、側眼は離れた位置にあります。歩脚は非常に強力で、棘が多く付いています。腹部は大きく、三角形に近い形をしており、前方にははっきりとした突起があります。

分布と生息環境

このクモは、日本国内では北海道から琉球列島に広く分布していますが、伊豆諸島には存在するものの、小笠原諸島には確認されていません。また、台湾、韓国、中国などでも見られます。オニグモは人家の近くで多く見かけることがあり、特に神社や寺院の周辺に生息しています。

生態

オニグモは、直径が1メートルを超えるような大きな垂直の円網を張ります。彼らは夜間に網を設置し、昼間は隠れながら過ごしますが、例外的に昼間に網を張ることもあります。成長に伴い、幼生は低い位置から徐々に高いところへと網を移動させます。成体は主に6月から10月にかけて見られ、繁殖は8月から9月に行われ、卵嚢が樹幹や屋根の下に設置されます。秋にかけて卵が孵化し、幼生が越冬します。

類似種

オニグモは個体変異が大きく、他の類似種と間違われることがあります。特に、ヤマオニグモ（A. uyemurai）やヤエンオニグモ（A. maccacus）といった種がよく似ているため、見慣れないと判別が難しいこともあります。これらの類似種との違いは、色合いや体の形状に見られます。

利害

オニグモは益虫として広く認識されていますが、多くの人々にはあまり好まれません。古名として、ダイミョウグモやカネグモ、カミナリグモと呼ばれることもあります。また、薬用として用いられたこともあったが、現代では効果が確認されていません。このクモを見かける際には、その大きな牙に注意が必要ですが、強く噛まれることは稀で、痛みは感じるものの深刻な影響はありません。

オニグモはその生態的な役割を持つ一方で、自然界における様々な食品連鎖を支える存在です。理解を深めることで、私たちの日常生活の中でも彼らの重要性を認識できることでしょう。

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