オネルキ・ガルシア

オネルキ・ガルシア・スペック：キューバから世界へ羽ばたいた150キロ右腕

オネルキ・ガルシア・スペック（Onelki García Speck）は、1989年8月2日生まれ、キューバ出身の右腕投手です。平均球速150km/hに達する圧倒的な速球と、多彩な変化球を操る技巧派として、メジャーリーグ、日本プロ野球、そしてメキシカンリーグと、世界各地で活躍を見せてきました。

キューバでのキャリアとアメリカ亡命

ガルシアは2007年、キューバ国内リーグのインディオス・デ・グアンタナモでプロとしてのキャリアをスタートさせました。その後、数ヶ月の逃亡劇を経て、2010年8月にはアメリカへ亡命。自由を求めての決断は、彼の野球人生における大きな転換点となりました。

メジャーリーグ挑戦：ロサンゼルス・ドジャース時代

2012年、MLBドラフト3巡目でロサンゼルス・ドジャースに入団。同年9月にはA+級ランチョクカモンガでプロデビューを果たし、2イニングを無安打無失点に抑える好投を見せました。2013年には、AA級とAAA級でプレーし、9月にはメジャーデビューを果たします。しかし、左肘の手術の影響で2014年はほとんど登板機会がありませんでした。

ホワイトソックス傘下、メキシカンリーグを経てロイヤルズへ

2014年オフ、ホワイトソックスに移籍しますが、2016年には自由契約となり、メキシカンリーグのメキシコシティ・レッドデビルズと契約。同年10月にはカンザスシティ・ロイヤルズとマイナー契約を結びました。2017年にはロイヤルズ傘下AAA級でプレーし、8月にはメジャー契約を結びメジャーへ復帰。しかし、同年9月には戦力外通告を受けます。

NPBでの活躍：中日ドラゴンズ時代

2017年12月、中日ドラゴンズと契約。2018年4月4日の巨人戦でNPBデビューを果たすと、6回1失点の好投で初勝利を挙げました。さらに、4回裏には適時打で初打点を記録するなど、投打にわたって活躍を見せました。この年は27試合に登板し、13勝9敗、防御率2.99と素晴らしい成績を残し、オールスターゲームにも出場。13勝のうち12勝をドーム球場、10勝を本拠地ナゴヤドームで挙げたことは特筆に値します。

阪神タイガース時代

2018年オフ、中日との残留交渉が決裂し、自由契約となったガルシアは、阪神タイガースと契約。2019年は先発として起用されましたが、成績は安定せず、シーズン終盤には中継ぎに転向。チームのAクラス入りとクライマックスシリーズ進出に貢献しました。2020年も先発として期待されましたが、コンディション不良に苦しみ、シーズン初勝利は8月まで持ち越しとなりました。オフに自由契約となり阪神を退団しました。

台湾、メキシカンリーグを経て

2020年12月には台湾プロ野球の中信兄弟と契約しましたが、肘と肩の故障により開幕直後に解雇。2021年7月には再びメキシカンリーグのユカタン・ライオンズと契約し、現在もプレーを続けています。

投手としての特徴

ガルシアの最大の魅力は、190cmの長身から投げ下ろす最速155km/hのストレートです。平均球速150km/h台の速球に加え、ツーシーム、チェンジアップ、スライダーなどの変化球も効果的に使い分けます。ストレートは打者の手元でわずかに変化するなど、独特の投球スタイルを持っています。

人物像

愛称は「サテリテ」。プライベートでは既婚者ですが、キューバに残した家族を案じながら、野球選手としての人生を歩んでいます。また、日本の歌手のFoorinが歌う『パプリカ』を好んでおり、報道陣の前で歌とダンスを披露したこともありました。

まとめ

キューバ亡命という波乱万丈な人生を経て、メジャーリーグ、NPB、そしてメキシカンリーグと世界中で活躍するオネルキ・ガルシア・スペック。彼の今後の活躍にも期待がかかります。彼の類まれな才能と、野球への情熱は、今後も多くのファンを魅了し続けることでしょう。

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