オバケのQ太郎 (石川進の曲)

オバケのQ太郎：アニメソング史に輝く一曲

1965年、TBS系列で放送されたアニメ『オバケのQ太郎』（第1作）の前期主題歌として誕生した「オバケのQ太郎」は、アニメソングの歴史に大きな足跡を残した名曲です。作詞は東京ムービー企画部（現：トムス・エンタテインメント）、作曲は広瀬健次郎、そして歌は石川進が担当しました。

この曲は、単なるアニメ主題歌の枠を超え、1966年には第8回日本レコード大賞童謡部門賞を受賞。アニメソングが日本レコード大賞で表彰されるのは史上初の快挙であり、その人気と完成度の高さを示しています。

当初はエンディング曲も兼ねていましたが、1965年10月15日には朝日ソノラマからソノシートが発売され、その後エンディング曲は「ぼくとQちゃん」に変更されました。このソノシートには、A面とB面にそれぞれの楽曲に加え、「Qちゃん号に乗ってよ！」のドラマも収録されており、当時のファンにとって貴重なアイテムでした。

石川進の歌唱は、作曲者である広瀬健次郎の推薦によるもの。石川進はその後も、『パーマン』の「ぼくらのパーマン」や『怪物くん』の「怪物くん音頭」など、多くの藤子アニメ作品で主題歌や挿入歌を担当するようになります。

オリコンチャート集計開始前だったため正確な数字は不明ですが、日本コロムビア、ビクター音楽産業、テイチクなど複数のレコード会社から発売された「オバケのQ太郎」は、100万枚以上を売り上げるミリオンセラーを記録したとされています。コロムビアからは、後期主題歌「オバQ音頭」のB面や、挿入歌「オバQマーチ/オバケのP子」のシングルにも収録されました。

日本レコード大賞での受賞は、山本直純作曲の「音のシンフォニー」との接戦を制し、21票を獲得しての快挙でした。この受賞は、アニメソングの可能性を大きく広げる転換点となりました。興味深いことに、山本直純は5年後、日本テレビで放送された『新オバケのQ太郎』の主題歌も作曲しており、同じタイトルながら異なる楽曲を手がけています。

音楽業界関係者の証言によると、この曲は当初、TBS系の音楽出版社から持ち込まれたものの、あるレコード会社の営業部長がテープを聴いて激昂したという逸話も残っています。このエピソードからも、この曲の持つインパクトの大きさが伺えます。

さらに、行進曲アレンジ版である「オバケのQ太郎マーチ」も制作され、ソノシートやシングルとして発売されました。この曲は、子供たちにも親しまれ、アニメの賑やかさを反映したアレンジが特徴です。

B面曲には、「ぼくとQちゃん」や「オバQかぞえ歌」など、様々な楽曲が収録され、それぞれのレコード会社によって収録内容が異なっていたようです。これらの楽曲も、アニメの世界観をさらに豊かに彩るものでした。

時を経て、1983年にはジ・アニメルズによってカバーされ、2000年代以降も様々なアルバムに収録されるなど、「オバケのQ太郎」は現在も聴き継がれる名曲として、アニメソング史に燦然と輝き続けています。

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