オピネル

オピネル (Opinel)

オピネルは、フランスを代表する刃物メーカーであり、特に折りたたみナイフで広く知られています。

概要

1890年、フランスのサヴォワ地方でジョセフ・オピネルによって考案された折りたたみナイフが原点です。創業以来、基本的なデザインを変えることなく生産されており、その優れたデザインは、1985年にロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館によって「世界で最も美しい100のプロダクト」の一つに選ばれました。また、ニューヨーク近代美術館にも収蔵されています。日本での輸入発売元はハイマウントです。

構造

オピネルは固定刃式の包丁なども製造していますが、ここでは主に折りたたみナイフの構造について解説します。ジョセフ・オピネルが原型を完成させたのは1890年、彼が18歳の時でした。当時、最も困難だったのは、折りたたんだ刃を収納する部分の加工でした。ジョセフは回転刃を持つ独自の治具を開発し、この問題を解決しました。現在のオピネルも、ジョセフ考案によるこの加工法を用いています。

オピネルのナイフは、時代とともにグリップや刃の材質、機構などの細部が改良されてきましたが、基本的な構造は変わっていません。21世紀現在、最も基本的なオピネルは、ブナ材にオレンジ色のニスを塗ったハンドル、鋼の両刃ブレード、そしてセーフティーリングで構成されています。1955年に考案されたセーフティーリングは「ヴィロブロック(Virobloc)」と呼ばれ、開刃時にリングを回すことでブレードを固定できます。2000年には、開閉どちらの状態でもブレードをロックできる形式に改良されました。

ブレードの材質には、炭素鋼の「カーボンスチール」とステンレス鋼の「ステンレススチール」があります。ステンレススチールはINOXと刻印されていることで区別できます。刃の形状は、一般的な形状の他に、ドロップポイント、内反りの大きいガーデニングナイフ、刃先を丸めたラウンドティップ、フィレナイフなどがあります。ハンドル材はブナ材が一般的ですが、トネリコ、紫檀、炭素繊維、牛骨、桜、クルミ、オリーブなど、さまざまな素材が用いられています。

歴史

1890年 - ジョセフ・オピネルが最初のオピネル・フォールディングナイフを完成
1897年 - 現在も使用されているNo.1からNo.12までのバリエーションを開発
1909年 - 商標登録
1955年 - セーフティーリングが開発される
1960年 - ジョセフ・オピネルが死去
1960年代 - ハンドル材が桜からブナに変更
2000年 - ナイフが閉じた状態でも安全に持ち運べるようにセーフティーリングが改良

日本での商品構成

アウトドア

伝統的な形状のハンドルとセーフティーリングを持つモデルが中心です。No.6(刃渡り7.0cm)からNo.12(刃渡り12.0cm)まで展開されており、鋼材は炭素鋼とステンレス鋼から選択できます。ステンレス製のNo.7で刃先を丸めた「ラウンドティップナイフ」や、ステンレス製のNo.8にシャックル留め、ホイッスル、ロープカット用鋸刃、ハング用ストラップを備え、ポリアミド・硝子ファイバー製のハンドルを取り付けた「No.8 アウトドア」、ステンレス製のNo.7またはNo.8に革紐が付いた「トレッキング」などのバリエーションも存在します。

キッチン

No.125のペティナイフ「ボナペティ」、No.117のバターナイフ「スプレッティングナイフ」、刃渡り10.0cmの細身の「テーブルナイフ」などがあります。ハンドル色や素材は複数の選択肢から選ぶことが可能です。また、波刃のパン切り包丁「ブレッドナイフ」も販売されています。

ガーデン

園芸や農作業用に設計された商品群です。ハンドル後部にブラシを備え、内反りの刃を持つ「マッシュルームナイフ」、ドロップポイントの「ガーデニングナイフ」(共にNo.8)、強い内反りを持つNo.8またはNo.10の「草刈ナイフ」、No.12またはNo.18のノコギリである「のこぎりナイフ」があります。ハンドル形状や刀身の形状は独特ですが、No.18以外のモデルにはブレードロック機構が搭載されています。

クラウンド・ハンドの由来

オピネルの商標であるクラウンド・ハンドは、オピネル家が住んでいたサン・ジャン・ド・マリアンヌの聖堂参事会の紋章が原型となっています。サン・ジャン・ド・マリアンヌの聖堂には洗礼者ヨハネの聖遺物が収蔵されており、商標中の3本の指を立てた右手は、洗礼者ヨハネがキリストに洗礼を施した時の手の形をイメージしています。また、王冠はサヴォイア地方がかつて独立した公国であったことを象徴していると考えられています。

主な番手とサイズ

No.1 - 1939年に生産中止
No.2 - 刀身長35mm
No.3 - 刀身長42mm
No.4 - 刀身長50mm
No.5 - 刀身長60mm (このサイズまではヴィロブロックは省略)
No.6 - 刀身長7.0cm
No.7 - 刀身長8.0cm
No.8 - 刀身長8.5cm
No.9 - 刀身長9.0cm
No.10 - 刀身長10.0cm
No.11 - 1939年に生産中止
No.12 - 刀身長12.0cm
No.13 - 刀身長225mm

手入れと補修

オピネル博物館の公式ウェブサイトによると、湿気の多い場所に放置したり、洗い桶の中に入れたりすることは避けるべきとされています。刃付けは20度の角度が推奨されています。また、ブレードロックが緩い場合は、プライヤーでセーフティーリングを取り外して調整することも可能です。

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