ヴィクトリア&アルバート博物館

ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館

ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館（V&A）は、イギリスのロンドンに位置する国立博物館で、現代美術から古美術、工芸品、デザインなど、多岐にわたる約400万点の膨大なコレクションを誇っています。博物館の本館は、ケンジントン地区にあり、ヴィクトリア女王とその夫アルバート公の名を冠しています。

最寄りの交通機関はサウス・ケンジントン駅であり、近くには自然史博物館や科学博物館、インペリアル・カレッジ・ロンドンなどの文化施設が集まっているため、訪れる際のアクセスも非常に便利です。さらに、ベスナル・グリーンには子供向けの展示が行われるV&A子供博物館があり、2018年にはスコットランドのダンディーに新たな別館が開館しました。この別館は、日本人建築家の隈研吾による設計です。

歴史

V&Aのルーツは1851年に遡り、ロンドン万国博覧会の収益や展示品を基に1852年に産業博物館として設立されました。当時の英国では、産業製品のデザイン品質が欧州諸国と比較して劣っていることが指摘され、公衆の趣味を高めるための教育が求められました。1847年には装飾美術館（Museum of Ornament Art）と改名したのち、1857年に現在の位置へ移転し、サウス・ケンジントン博物館と名を改称しました。その後1899年にヴィクトリア・アンド・アルバート博物館と再度改称され、1909年に現在の建物が完成しました。

コレクションの多様性

V&Aのコレクションは非常に多様で、絵画や彫刻、写真、ガラス工芸、金属製品、陶磁器、宝石類、衣装、アンティーク家具、中世から近代の武器、おもちゃ、テディベア、さらには古い電化製品などが含まれています。その数は圧倒的で、展示室も数多く存在します。

特に注目すべきは、中世ヨーロッパの手工芸品であるグロスターのろうそく立てで、1104年から1113年ごろにイングランドまたはドイツ北部で制作されたと考えられています。また、日本からのコレクションも豊富で、江戸時代から明治時代にかけての工芸品が多数収蔵されており、例えば並河靖之の七宝焼や、鈴木長吉の金工などが有名です。現代作品としては、江戸期や明治期の高い再現性が称賛される漆工工房「雲龍庵」の作品も収蔵されています。

館内の施設と歴史的背景

博物館内には、ホールを利用したカフェテリアもあり、来館者はケーキや紅茶、コーヒーを楽しむことができます。また、第二次世界大戦中にはナチス・ドイツの爆弾が館の西側に落下しましたが、建物自体は破壊を免れました。しかし、その際に壁面には傷が残り、今日までその痕跡が修復されずに残されています。この傷は、博物館の過去の歴史を物語る貴重な証です。

V&A博物館は、美術とデザインの幅広いコレクションを通して、芸術と文化に対する深い理解を促し、訪れる人々に刺激的な体験を提供しています。

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