オフェク (装甲兵員輸送車)

オフェク重装甲兵員輸送車

オフェク重装甲兵員輸送車（Ofek Heavy Armored Personnel Carrier）は、2015年にイスラエルで開発された装甲兵員輸送車です。この車両の名称である「オフェク」はヘブライ語で「水平線」を意味し、過去にはイスラエルで開発された偵察衛星にも同じ名称が付けられています。

開発の背景

イスラエル国防軍は、余剰化したメルカバMk.II戦車を多数保管しており、これらを基にしてコスト効率の良い重装甲兵員輸送車の開発を計画しました。これにより、戦闘車両から兵員輸送用の車両へスムーズに転換できるメリットが生まれました。特に、以前に開発されたナメル装甲兵員輸送車もこの流れに影響を与えています。

オフェクは、メルカバMk.IIの車体をほぼそのまま利用し、砲塔だけを取り除く形で設計されています。この設計の特徴は、元の戦車の車体に数少ない改修を施すことで、コストを抑えることができている点にあります。

運用と役割

オフェクは主に後方支援部隊での使用が想定されています。これには、衛生兵や救援部隊、物資輸送部隊などが含まれます。近年、イスラエル軍では1960年代に開発されたM113装甲兵員輸送車が依然として使用されていましたが、その防護力に限界がありました。オフェクはこのM113の代替として位置付けられ、特に安全性の向上が求められている支援部隊での運用が期待されています。

これを支える背景には、ガザ地区での演習時にM113が攻撃を受け、兵士が犠牲になるという悲劇的な事例があったことも影響しています。オフェクの採用により、より安全な兵員輸送が実現されることが期待されています。

設計と機能

オフェクは、メルカバMk.IIの車体を利用し、箱型の兵員室を取り付けています。これにより、2名のクルーと最大10名の兵士を収容することができます。乗降時には、メルカバ搭載の後部ハッチがそのまま利用されます。

また、兵員室の周りにはバーアーマー（ケージ装甲）が配置されており、上部には7.62mm機関銃の搭載が可能です。この防護機能により、オフェクは敵の脅威から乗員をしっかり守る設計になっています。搭載エンジンは900馬力のコンチネンタル製AVDS-1790-6Aディーゼルエンジンで、兵士の防護を考慮し、エンジンが前方に配置されています。

試験とフィードバック

オフェクの試作車両は2015年春にヨルダン渓谷で行われた演習でテストされ、好意的なフィードバックを受けました。この演習ではイスラエル国防軍の参謀総長が直接現地を視察し、オフェクの性能を確認しました。

さらに、メルカバMk.IIを基にした他の派生型の検討も進められており、地雷原の啓開車両や監視用車両などの開発も期待されています。

結論

オフェク重装甲兵員輸送車は、イスラエルの軍事ニーズに応じた軽量かつ高防護を誇る車両です。これにより、後方支援部隊の安全性および効率性を高めることが期待されています。

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