オフサイドトラップ (競走馬)

オフサイドトラップについて

オフサイドトラップ（Offside Trap）は、1991年4月21日に北海道新冠町で誕生した日本の競走馬であり、後に種牡馬としても活躍しました。彼は、「不治の病」とされる屈腱炎に悩みながらも、8歳の時に七夕賞、新潟記念、天皇賞（秋）を制したことから「不屈の闘士」として知られています。馬名は、サッカーのオフサイドトラップ戦術に由来しています。

出生からデビューまで

オフサイドトラップの母馬トウコウキャロルは、しばしば臆病な性格とはいえ、受胎率が高く、優秀な産駒を出してきました。オフサイドはその初仔であり、小柄で薄っぺらい体形として批評されましたが、彼は素質を持っていました。競馬界の調教師である加藤修甫によって見初められ、1993年に美浦トレーニングセンターに所属することになりました。

デビュー前のトレーニングは順調に進みましたが、オフサイドの右前脚に若干の不安が表れ、年内のデビューが危ぶまれたものの、1993年12月に中山競馬場でデビューを果たしました。その後、初勝利を手に入れ、セントポーリア賞や若葉ステークスで連勝を重ねましたが、屈腱炎の症状が再度現れてしまいます。

競走人生

4歳以降は屈腱炎と不断の戦いが始まりました。特に皐月賞前後では期待外れの成績に終わり、長期間の休養を余儀なくされます。調教師や厩務員たちはオフサイドを復帰させるため、さまざまな治療を行いました。そして、1996年、オフサイドは再びレースに復帰し、少しずつ成績を上げていきました。

8歳となった1998年、オフサイドはついに天皇賞（秋）への出走を果たしました。このレースは彼にとって特別なものであり、屈腱炎を乗り越えての挑戦。スタートから格別の走りを見せ、最後には圧倒的な人気を誇るサイレンススズカを抑えて見事勝利を収めました。オフサイドは史上初の8歳馬として天皇賞を制したのです。

引退後の生活

競走引退後は、北海道のブリーダーズ・スタリオン・ステーションで種牡馬として活躍しました。種付け料金の安さから人気を集める一方で、良質な産駒を送り出すことは叶わず、最終的には血統が途絶えてしまいました。その後、引退後は日高ケンタッキーファームなどで余生を送り、2011年8月に生を閉じました。

エピソードと遺産

オフサイドトラップは、天皇賞制覇の際馬主の渡邊隆が喜びを語った逸話や、JRAの60周年でのメモリアルホース投票での受賞など、多くのエピソードを持っています。また、2022年には日本中央競馬会が彼をコンテンツに取り上げるなど、今もなお彼の存在は競馬ファンの記憶に刻まれています。彼の血統や成績は、今後も競馬界の誇りとして受け継がれていくでしょう。

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