オブザヴェーション・アイランド (ミサイル追跡艦)

オブザヴェーション・アイランド (USNS Observation Island, T-AGM-23)

オブザヴェーション・アイランドは、アメリカ海軍海上輸送司令部が運用していたミサイル追跡艦です。その前身は、C4-S-1標準型（マリナー型）貨物船の一隻として1953年8月に進水した商船・エンパイア・ステート・マリナーでした。

概要

エンパイア・ステート・マリナーは、1956年9月にアメリカ海軍によって取得され、オブザヴェーション・アイランドと命名されました。1958年には弾道ミサイルの試験艦として就役し、アメリカのミサイル開発において重要な役割を果たしました。しかし、1972年から1977年にかけては保管艦としてノーフォークに係留されていました。

1977年、オブザヴェーション・アイランドは海上輸送司令部へ移管され、[ミサイル追跡艦]として新たな任務に就くことになりました。この移管に伴い、艦には大型レーダーが複数搭載されました。2006年時点の記録では、艦橋上部に2基のレドーム、艦中央後寄りには大型のパラボラアンテナ、そして後部甲板にはAN/SPQ-11 コブラジュディ・フェーズドアレイ[[レーダー]]が搭載されていました。

北朝鮮のミサイル監視

2000年代に入ると、オブザヴェーション・アイランドは北朝鮮の弾道ミサイル開発を監視するため、日本近海を頻繁に遊弋するようになりました。2012年12月、北朝鮮が「人工衛星」と称する弾道ミサイルの発射を予告した際には、アメリカ海軍は黄海に艦艇を展開させ、不測の事態に備えました。オブザヴェーション・アイランドは、イージス艦4隻と共にミサイル発射予告の初日である12月10日までに当該海域に配備され、警戒監視体制を強化しました。この警戒態勢には、海上自衛隊のイージス艦3隻、大韓民国海軍の2隻も加わり、計10隻体制で臨みました。そして、北朝鮮のミサイルは同月12日に発射されました。

退役と後継

オブザヴェーション・アイランドは、長年の任務を終え、2014年3月31日に退役しました。その任務は、新たに建造された「ハワード・O・ローレンツェン」（USNS Howard O. Lorenzen, T-AGM-25）に引き継がれ、2012年1月10日にその役割を終えました。

オブザヴェーション・アイランドは、冷戦時代から21世紀初頭にかけて、アメリカのミサイル開発と安全保障に貢献した重要な艦艇でした。その退役は、一つの時代の終わりを象徴するものと言えるでしょう。

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