オペア

オペア制度：異文化交流と家事援助の狭間

オペアとは、主に若い世代が海外でホームステイをしながら、現地の家庭で子供の保育や家事を行い、生活費や小遣いを得る留学制度です。近年、世界中で注目を集めていますが、その実態は国によって大きく異なり、課題も抱えています。

アメリカ：厳格なプログラムとJ-1ビザ

アメリカ合衆国は、オペアプログラムが特に整備された国の1つです。国務省が管轄する厳格なプログラムがあり、世界40ヶ国以上の参加者がいます。参加者は、米国政府認定のエージェントを通じてJ-1ビザ（交流訪問者ビザ）を取得し、最短1年間、最長2年間の滞在が認められます。2年目の滞在期間は6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月から選択可能です。このプログラムは、制度が確立され、参加者にとって安心できる点が大きな特徴です。

デンマーク：制度の課題と改革の必要性

デンマークでは40年以上前からオペア制度が存在しますが、近年、その制度の見直しや廃止を求める声が上がっています。現状では、オペアの出身国の約90％がフィリピン人で、雇用者の多くが高収入世帯である点が問題視されています。異文化交流という側面よりも、安い労働力として利用されているケースが多く、オペアの権利やワークライフバランスの観点から懸念されています。例えば、月30時間程度の労働に対して月額67000円（税引き前）という低賃金が指摘されており、労働力の搾取にあたるという批判もあります。

フランス：伝統と現代の狭間

フランスでは、オペア制度は若い女性がフランス語を学ぶための伝統的な方法として長年親しまれてきました。近年は男性の参加も増えており、週60ユーロの小遣い、さらに週20ユーロの語学教室への寄付金が支給されることが一般的です。都市部では交通費の支給もあります。ヨーロッパ圏外からのオペアはフランス語コースの受講が義務付けられている場合もあります。フランス政府が主催する公式なプログラムはありませんが、多くの信頼できる機関がUFAAP（Union Francaise des Associations Au Pair）に所属しており、多くのオペアは学生ビザで入国します。労働時間は1日5時間、週30時間以内と制限され、給与は一般的に250〜300ユーロです。フランスでは、保育ママのような「ヌヌー」という制度もあり、多くの移民が就労しています。

その他の国々：ビザ規定の重要性

他の国々では、オペア制度は各国のビザ規定に大きく依存します。ワーキングホリデービザを利用するケースが多いですが、学生ビザでの就労が認められている場合もあります。ヨーロッパではオペア制度が盛んなため、専用のオペアビザを取得できる国もあります。保険やその他の細かい規定は、取得したビザの種類によって異なります。

日本の支援団体

日本では、数多くのエージェンシーがオペアプログラムの仲介を行っています。最大手のIntrax（イントラックス）は、アメリカ国務省認定の教育機関で、日本で初めてオペアを米国に派遣した実績を持っています。その他にも、オペアAIJ、ワールドオペアジャパン、PIEE、World Unite Japanなど、多くの団体がオペア希望者へのサポートを提供しています。これらの団体は、ビザ申請の手続き、ホームステイ先の紹介、文化交流プログラムの企画など、多岐に渡るサポートを行っています。

オペア制度の将来

オペア制度は、異文化交流と家事援助という二つの側面を併せ持ちます。参加者にとって貴重な経験となる一方、労働力の搾取や不当な待遇といった問題も存在します。各国政府や関連団体は、制度の改善や監視体制の強化、参加者の権利保護に力を入れる必要があります。オペア制度が、真の異文化交流と、参加者双方にとってメリットのある制度として発展していくことが期待されます。

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* 技能実習生

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