オペル・アストラ

オペル アストラ：世界を駆け抜けた大衆車の歴史

オペル・アストラは、世界中で親しまれてきた大衆車です。その歴史は、イギリスのボクスホールブランドで用いられていた車名にまで遡ります。当初、ドイツのオペルでは姉妹車種を「カデット」として販売していましたが、1991年、GMのグローバル戦略により車名が世界統一され、「アストラ（ラテン語で『星』を意味する）」と命名されました。

各世代の特徴

初代アストラ（1991-1998年）は、ドイツ、ベルギー、イタリアの工場で生産され、南アフリカでもライセンス生産されました。世界80ヶ国で270万台以上を販売、カローラに次ぐ世界第2位の販売台数を記録するほどの大ヒットとなりました。特にワゴンモデルは、当時ゴルフにワゴンモデルが無かったことから、欧州でのワゴンブームに乗って高い人気を獲得し、フォルクスワーゲンがゴルフワゴンを投入するきっかけを作ったと言われています。日本市場にも、ハッチバック、サルーン、ワゴン、カブリオレなどのボディタイプが輸入されました。2.0LのSOHCエンジンが中心でしたが、1997年からはDOHCエンジン「エコテック」を搭載したモデルも登場しました。また、スポーツモデルであるGSi-16VやGT、SPORTなども存在しました。

2代目アストラ（1998-2004年）は、アルミニウム製サブフレームや高張力鋼板の採用によりボディ剛性を向上させ、アクティブヘッドレストなどの安全装備も充実しました。日本への輸入モデルは、ハッチバック、サルーン、ワゴン、クーペ、カブリオレで、4速ATが標準でした。2001年以降のモデルには、GMグループで成功を収めたサターン製の2.2L DOHCエンジンが搭載されました。

3代目アストラ（2004-2014年）は、2003年にフルモデルチェンジを行い、世界で40万台以上の販売を記録しました。ADAC誌のカーオブザイヤーを受賞するなど高い評価を得ましたが、日本市場では2006年にオペルの撤退とともに販売終了となりました。ハッチバック、ワゴン、クーペ、カブリオレなどがラインナップされ、1.7Lディーゼルエンジンにはいすゞ製のものが採用されました。日本仕様では、Z18エンジン搭載のCDとSPORT、Z20エンジン搭載のTURBO SPORTが販売されました。

4代目アストラ（2009-2015年）は、シボレー・クルーズと同じプラットフォームを採用し、5ドアハッチバック、3ドアハッチバック、カブリオレ、ワゴン（スポーツツアラー）などがラインナップされました。スタイリングはインシグニアと共通性があり、中国市場ではビュイック・エクセルXTとして、北米市場ではビュイック・ベラーノとして販売されました。日本市場への正規輸入はありませんでした。

5代目アストラ（2015-2021年）は、軽量モジュラープラットフォーム「D2XX」を採用し、軽量化とダウンサイジングが図られました。1.0L 3気筒ターボエンジンなど、省燃費に優れたパワートレーンが特徴です。オセアニア市場ではクルーズの後継車として位置づけられましたが、日本市場には正規輸入されませんでした。2016年にはヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。

6代目アストラ（2021年-）は、ステランティスグループのEMP2プラットフォームを採用し、プラグインハイブリッドモデルも設定されました。

日本市場とアストラ

日本市場では、初代から3代目までが正規輸入されましたが、2006年のオペル撤退により、それ以降は正規輸入は途絶えています。各モデルとも、ハッチバックが中心で、一部にワゴンやクーペ、カブリオレがラインナップされました。日本仕様は、右ハンドルで、主にガソリンエンジンモデルが導入されました。

まとめ

オペル・アストラは、時代とともに進化を続け、世界各国で高い人気を誇る車種です。その歴史は、GMグループのグローバル戦略や技術革新、そして市場ニーズの変化を反映したものであり、自動車史における重要な一ページを刻んでいます。日本市場においても、多くのファンを獲得し、その存在感を示してきました。

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