オランダ坂トンネル

オランダ坂トンネル

オランダ坂トンネルは、長崎県長崎市のながさき出島道路に位置するトンネルです。2004年3月27日、ながさき出島道路の開通と同時に供用が開始されました。このトンネルは、ながさき出島道路の大部分を占めており、長崎市街への入り口として重要な役割を果たしています。特に、長崎市街地側の出入り口が活水女子大学や有名な観光地であるオランダ坂の近くにあることから、この名前が付けられました。

また、長崎市街地側の出入り口付近の歩道壁には、復刻されたハルデス煉瓦が使用されており、景観にも配慮した設計となっています。

概要

トンネルは上り線用と下り線用の2本のトンネルで構成され、それぞれ2車線が確保されています。トンネルの建設にあたっては、周辺環境への影響を最小限に抑えることが重要な課題でした。特に、長崎市街地側の坑口周辺は住宅密集地であり、近隣には長崎みなとメディカルセンター市民病院（当時）が隣接していたため、騒音や振動に対する対策が不可欠でした。

さらに、住宅密集地の下を通過する区間では、トンネル上部の土の厚さ（土被り）が浅い箇所で約20m、坑口部ではわずか7mという状況でした。そのため、地表面の沈下や地盤の崩落を防ぐための特別な対策が必要となりました。これらの課題に対応するため、専門家によるオランダ坂トンネル技術検討委員会が組織され、最適な施工方法が検討されました。

騒音と振動を軽減するために、発破による掘削ではなく、自由断面掘削機を用いたNATM工法が採用されました。土被りが浅い区間では、特殊鋼管から固化剤を注入して地山を補強するトレヴィチューブ工法が用いられ、特に土被りが極めて浅い坑口部では、断面に並行して鋼管を埋め込むパイプルーフ工法が採用されました。トンネル坑口のデザインも、周囲への圧迫感を軽減するために竹割り形に斜めにカットされた形状とし、周辺の緑化や植栽も行われました。供用後の騒音対策として、坑口内部には吸音板が設置されています。

トンネル建設中は、地表面の変位を監視するために、地盤計測機器がルート上に設置され、坑内では水平傾斜計による観測が実施されました。現場は昼夜体制で施工が行われましたが、周辺住民との合意に基づき、夜間の掘削作業は休止されました。また、施工中は坑口部に防音ハウスが設置され、騒音や振動に関する調査結果は地元説明会で公開されました。トンネルが周辺の建造物に与える影響を評価するため、着工前と完成後にトンネル上の建築物の調査も実施されました。

路線データ

全長：上り線2,923 m、下り線2,967 m（施工長）
車線：上下4車線（トンネルは上下線で分離）
道路規格：第1種第4級
設計速度：60 km/h
制限速度：80 km/h（2014年3月31日までは60 km/h）

外部リンク

飛島建設 - 施行実績 - オランダ坂トンネル

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