オランチョ県

オランチョ県（ホンジュラス）

オランチョ県は、ホンジュラス共和国を構成する18県の一つであり、国土の北東部に位置する内陸の県です。特筆すべきはその広大な面積で、ホンジュラス国内で最大の県となっています。

歴史

オランチョ県は、その豊かな牧畜業を背景に、長きにわたりホンジュラスで最も富裕な地域の一つでした。その経済力は、商業的な影響力、そして政府内における政治的な影響力にも繋がりました。

しかし、その商業的影響力は、県内の政治秩序を巡る紛争の種ともなりました。1864年12月7日、代議員ロサーレスの拘束事件をきっかけに、県と中央政府との間で大規模な反乱が発生しました。

1865年、バラオーナ大佐、サバーラ大佐、アントゥネス大佐らに率いられた1000人以上の反乱軍は、首都テグシガルパを目指して進軍を開始。これに対し、当時の共和国大統領ホセ・マリーア・メディーナ将軍は遠征部隊を組織し、反乱軍を迎え撃ちました。

反乱は最終的にメディーナ将軍率いる政府軍によって鎮圧され、首謀者たちは逮捕、銃殺または斬首され、その首は埋められるという悲惨な結末を迎えました。この戦いにより、ホンジュラス国内の多くの村や集落が焼き討ちされ、住民が殺害されました。反乱に加担した人々も処刑や戦闘で命を落としました。

この事件後、多くのオランチョ住民が国内の他地域へ追放、逃亡を余儀なくされ、オランチョ県は人口を大幅に減少させました。県内における中心都市としての地位はマントからフティカルパへと移り変わりました。

1868年、シンチョネーロとして知られる青年セラピオ・ロメーロが、フティカルパで権力者ナサリーノ・ガライに対し決起。両者は激しい剣戟を繰り広げ、最終的にロメーロが勝利を収めました。

その後、シンチョネーロは中央政府に反旗を翻し、バラオーナ大佐、アントゥネス大佐、サバーラ大佐らの首を掘り起こし、彼らの名誉回復を図りました。政府は再び部隊を派遣し、ロメーロを捕らえ、斬首しました。この流血事件の後、オランチョ県は多くの住民を失い、ようやく静寂を取り戻しました。

オランチョ県は1825年に創設されましたが、1869年には自治体ダンリーがエル・パライソ県へ編入され、その面積は縮小されました。

地理

オランチョ県は、23,905平方キロメートルの広大な面積を誇り、これは隣国のエルサルバドルやベリーズよりも広大です。中央アメリカの国家の下位行政区画としては、グアテマラのペテン県、ニカラグアの北カリブ自治地域、南カリブ自治地域に次ぐ4番目の広さです。

ホンジュラスの北東部に位置し、北はヨロ県とコロン県、南はエル・パライソ県とニカラグア、東はグラシアス・ア・ディオス県、西はフランシスコ・モラサン県とヨロ県に隣接しています。

地勢は、コルディジェーラ・セントロアメリカーナ（中央アメリカ山脈）の一部をなす山地によって形成されており、ラ・エスペランサ山地、アガルタ山地、パトゥーカ山地などがそびえ立っています。また、グアジャーペ川、ティント川、パトゥーカ川などによって、グアジャーペ谷、カタカマス谷、レパグアーレ谷、アガルパ谷、パトゥーカ谷などが形成されています。

隣接する県

コロン県
グラシアス・ア・ディオス県
エル・パライソ県
フランシスコ・モラサン県
ヨロ県

隣接する国
ニカラグア

行政区画

オランチョ県は、23の自治体によって構成されています。県都はフティカルパであり、次いで重要な都市は、元大統領マヌエル・セラージャ・ロサーレスの出身地でもあるカタカマスです。

経済

オランチョ県の経済は、農業と牧畜業を基盤としています。トウモロコシ、サトウキビ、コーヒー豆、モロコシ属の穀物類、インゲン豆、米などが栽培されており、木材とタバコ栽培も重要な産業となっています。

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