オリエンタル写真工業

オリエンタル写真工業株式会社：感光材料のパイオニア

オリエンタル写真工業株式会社は、写真フィルム・印画紙などの感光材料の製造・販売を行う日本の企業です。1919年の創業以来、日本の写真文化の発展に大きく貢献してきました。2000年から2023年まではサイバーグラフィックス株式会社と称していましたが、再びオリエンタル写真工業へと社名を戻し、現在も「オリエンタル」ブランドで製品を展開しています。

創業と初期の歩み

オリエンタル写真工業の創立者である菊池東陽は、明治時代から輸入に頼っていた感光材料の国産化を目指し、長年の研究の末に感光乳剤の製法を完成させました。1919年、実業家の渋沢栄一の紹介により、植村澄三郎を会長に迎え、オリエンタル写真工業株式会社を設立。国産初の印画紙製造から事業をスタートさせました。

写真雑誌『フォトタイムス』の創刊やオリエンタル写真学校の開設を通じて、写真の普及と人材育成にも力を注ぎました。オリエンタル写真学校からは、映画監督の木下恵介や写真家の植田正治、林忠彦など、多くの著名な人物を輩出しています。

戦時下の苦難と戦後の復興

太平洋戦争中には、『フォトタイムス』が休刊となり、工場や写真学校も空襲で焼失するなど、苦難の時代を経験しました。しかし、戦後には東京証券取引所に上場し、日本初のカラーネガフィルム「オリカラー」を発売するなど、新たな一歩を踏み出しました。

経営再編とブランドの継続

1995年には会社更生法の適用を申請し、上場廃止となりましたが、その後プラザクリエイトの子会社となり、サイバーグラフィックス株式会社へと社名変更しました。2003年にはMBOによって再独立を果たし、再び「オリエンタル」のブランド名で事業を継続しています。

イルフォード製品の総代理店として

2008年から2023年まで、イルフォード・フォト製品やケントメア・フォトグラフィック製品などの日本国内における総代理店を務めました。これにより、海外の高品質な写真用品を日本の写真愛好家へ提供することに貢献しました。

現在のオリエンタル写真工業

現在では、「オリエンタル」ブランドの印画紙や現像薬品を中心に展開しています。長年の歴史の中で培われた技術と品質へのこだわりを大切にし、写真文化の発展に貢献し続けています。

主な製品

ニューシーガル（モノクロフィルム、印画紙）
イーグル（モノクロ印画紙）
スーパーオリトーン、スーパーオリフィックス（現像液、定着液）

沿革

1919年：オリエンタル写真工業株式会社として創立
1924年：写真雑誌『フォトタイムス』創刊
1929年：オリエンタル写真学校開設
1949年：東京証券取引所一部に上場
1953年：日本初のカラーネガフィルム「オリカラー」発売
1995年：会社更生法適用申請、上場廃止
2000年：サイバーグラフィックス株式会社に社名変更
2003年：MBOにより再独立
2023年：オリエンタル写真工業株式会社に社名変更

参考文献

オリエンタル写真工業株式会社三十年史
日本映画発達史 II 無声からトーキーへ
國文學 解釈と教材の研究

関連項目

菊地東陽
植村澄三郎
フォトタイムス
オリエンタル写真学校
プラザクリエイト
浅沼商会
東京工芸大学

外部リンク

公式ウェブサイト
ILFORD PHOTO

オリエンタル写真工業は、日本の写真史を彩る重要な企業の一つです。その歴史と製品は、これからも多くの写真愛好家によって大切にされていくでしょう。

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