オリオン (製薬会社)

オリオン（Orion Oyj）

オリオンは、フィンランド共和国のエスポー市に本社を構える国際的な製薬会社です。医薬品および医薬品有効成分（API）の研究開発、製造、販売を主要な事業として展開しており、その株式はナスダック・ヘルシンキ市場に上場しています。

沿革

オリオンの歴史は、1917年にフィンランドの首都ヘルシンキの中心部に位置するクルーヌンハカ地区で始まりました。当時、3人の薬剤師、オンニ・トゥルペイネン（Onni Turpeinen）、ヴィッキ・ヴァルカマ（Wikki Walkama）、エーミル・トゥーララ（Eemil Tuurala）らの手により設立されました。設立当初は人工甘味料などの製品で成功を収めます。

事業の拡大に伴い、1934年にはヘルシンキ市内のヴァリラ地区へと拠点を移し、施設を拡張します。さらに1937年にはワクチンの製造に着手したことにより、オリオンはフィンランド国内で最大規模の製薬工場へと成長を遂げました。

その後も発展を続け、1962年にはエスポー市に新たな製薬工場を開設し、生産能力を強化します。1970年代初頭には、国内市場での確固たる地位を基盤として、海外市場への進出を開始し、国際的な事業展開の礎を築きました。本社機能も段階的に移転し、1984年には正式にヘルシンキからエスポーへと完全に移転しました。そして、1995年に株式を公開し、公開企業として新たなステージに進みました。

主な製品と事業展開

オリオンの事業において特筆すべきは、自社での研究開発による革新的な医薬品の創出です。特にパーキンソン病治療薬「スタレボ」（Stalevo）は、オリオンが独自に開発し特許を取得した薬剤として、2003年に販売が開始されました。この製品は、同社の開発力と市場における存在感を示す重要な一例です。

国際的な事業展開も活発であり、地域別の売上構成を見ると、フィンランド国内が全体の3割弱、フィンランドを除くヨーロッパ諸国が4割弱、そして北米地域が約15%を占めています。これらの数字は、同社の事業がヨーロッパを中心にしながらも、グローバルに展開していることを示しています。

また、アジア市場へのアプローチも行っています。2017年には、日本の大手製薬会社であるエーザイ株式会社との間で、中国市場におけるオリオン製品のマーケティングおよび販売に関するライセンス契約を締結しており、戦略的な提携を通じて市場への浸透を図っています。

日本における展開

オリオンは日本市場においても事業を展開しています。2024年には日本法人となる「オリオンファーマ・ジャパン株式会社」を設立しました。この日本法人は、国内での医薬品販売事業を手がけています。

事業開始にあたり、主要な製品の販売承認を国内の他社から承継しています。具体的には、パーキンソン病治療薬であるスタレボについては、これまで販売を行っていたノバルティス社から販売承認を引き継ぎました。また、経皮吸収型エストラジオール製剤である「ディビゲル」に関しても、サンファーマ株式会社から販売承認を受け継ぐ形で、日本国内での流通・販売を担っています。

オリオンファーマ・ジャパン株式会社は、日本のビジネスの中心地である東京の千代田区にオフィスを構えており、日本市場におけるオリオンの事業拡大に向けた拠点となっています。

このように、オリオンはフィンランドでの設立以来、製品開発と国際的な事業展開を通じて成長を続け、現在では日本を含む世界各地で人々の健康に貢献する医薬品を提供しています。

もう一度検索