オリジンズ宇宙望遠鏡

オリジンズ宇宙望遠鏡（Origins Space Telescope, OST）

オリジンズ宇宙望遠鏡（OST）は、NASAが将来の大型戦略科学ミッションとして検討している遠赤外線宇宙望遠鏡のコンセプトです。2019年にアメリカの10年調査レポートに提出され、赤外線と分光観測能力を駆使して、星形成、銀河進化、星間物質のエネルギーと物理状態を解明することを目指しています。

概要

2016年、NASAは大規模な戦略的科学ミッションとして、4つの宇宙望遠鏡の検討を開始しました。その中には、居住可能な系外惑星のイメージングを目的とするHabEx、大型の紫外線・可視・赤外線望遠鏡であるLUVOIR、そしてOST、さらにX線観測に特化したLynx X線天文台が含まれます。2019年には、これらのミッションコンセプトに関する最終レポートが全米科学アカデミーに提出され、同アカデミーはこれらのレポートに基づいてNASAに優先すべきミッションを勧告します。OSTは、資金が提供されれば2035年頃に打ち上げられる予定です。

進化するコンセプト

OSTのコンセプトは、従来の遠赤外線望遠鏡であったハーシェル宇宙天文台と比較して、感度が大幅に向上し、角度分解能が少なくとも4桁向上した中・遠赤外線望遠鏡を想定しています。このミッションの開発は、科学的な推進要因に基づいた技術的な要件を確立することに重点が置かれています。主要な科学テーマとしては、以下のものが挙げられます。

宇宙の夜明けと再電離
銀河とブラックホールの進化
局所銀河と天の川銀河の構造
星間物質
原始[[惑星]]系円盤、惑星形成、系外惑星、星形成、進化した星
太陽系
水の輸送

特に、水が氷やガスとして宇宙空間をどのように移動しているかを調べ、原始[[惑星]]系円盤から地球までの水の輸送過程を解明し、居住可能な惑星に必要な水の量と利用可能性を理解することを目指しています。太陽系においては、彗星の重水素/水素比を分析することで、初期の地球に水を供給した彗星の役割を明らかにしようとしています。

予備的な特徴

OSTは、口径9.1m（コンセプト1）または5.9m（コンセプト2）の望遠鏡を用いて、中・遠赤外線領域での観測を行います。この望遠鏡は、検出器を約50mK、望遠鏡光学系を約4Kに冷却する極低温システムを必要とし、これにより従来の遠赤外線望遠鏡の100倍から1000倍の感度を実現できると期待されています。また、3.3〜25μmの波長域で、居住可能温度の小型で温暖な惑星の大気温度測定、生命の基礎化学成分の探索、大気組成の測定を行います。これは、トランジット分光法とコロナグラフによる直接撮像を組み合わせることで実現します。大気観測においては、アンモニア、オゾン、二酸化炭素、水などの重要な分子を検出します。OSTの分光器は、遠方の銀河、天の川銀河、太陽系外惑星、太陽系の外縁を調査し、宇宙の3Dマップを構築することを可能にします。

予備ペイロード

OSTの最終報告書では、以下の3つの観測機器と、オプションとして高分解能ヘテロダイン分光計の搭載が提案されています。

1. 遠赤外線イメージング偏光計
2. 系外惑星トランジット分光観測用の中赤外線機器
3. 広視野低分解能またはシングルビーム高分解能機能を持つ多目的遠赤外線分光計
4. 非常に高分解能ヘテロダイン分光計（オプション）

これらの機器を駆使して、OSTは宇宙の謎の解明を目指します。

参考文献

Origins Space Telescope - From first stars to life - カリフォルニア工科大学のオリジンズ宇宙望遠鏡プロジェクトページ

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