オリバー ニューヨーク子猫ものがたり

『オリバー ニューヨーク子猫ものがたり』：ニューヨークを舞台にした子猫の冒険物語

1988年、ウォルト・ディズニー・カンパニーから公開された長編アニメーション映画『オリバー ニューヨーク子猫ものがたり』（原題：Oliver & Company）は、チャールズ・ディケンズの小説『オリバー・ツイスト』を大胆に現代風にアレンジした作品です。舞台は1980年代のニューヨーク。主人公オリバーは人間ではなく、オレンジ色の可愛らしい子猫として生まれ変わっています。

原作からの大胆なアレンジと豪華声優陣

本作は、ディズニー映画事業部の責任者だったジェフリー・カッツェンバーグが、パラマウント映画時代に企画した実写ミュージカルを基にしています。ディズニー・スタジオのアニメーターたちの手によって、登場人物たちが動物へと姿を変え、現代ニューヨークの街を舞台にした、全く新しい物語が誕生しました。

さらに、本作の魅力を高めているのが、豪華な声優陣です。ビリー・ジョエルやベット・ミドラーといった著名なアーティストが声優として参加し、話題を呼びました。

ストーリー：路上で出会った子猫と犬たちの友情

物語は、路上で売れ残った子猫オリバーが、悪賢いが頼りになる犬ドジャーと出会うことから始まります。ドジャーは、仲間である犬たちと、人間フェイギンのもとで暮らしています。彼らは、フェイギンの指示で小悪事を働いて生活しています。

ある日、オリバーはドジャーたちと金持ちの少女ジェニーと出会います。ジェニーはオリバーを可愛がり、自宅に連れて帰ります。しかし、ドジャーたちはオリバーを取り戻そうと、ジェニーの家からオリバーを連れ去ってしまいます。

その後、オリバーはフェイギンの借金取りであるサイクスに利用されそうになりますが、フェイギンの良心と、オリバーとジェニーの絆によって、サイクスからジェニーを救出することに成功します。

個性豊かな登場人物たち

本作には、オリバーとドジャー以外にも個性豊かなキャラクターが登場します。ドジャーの仲間である犬たちは、それぞれ異なる性格と特技を持っています。チワワのティトは配線をいじることが得意で、ブルドッグのフランシスは芝居好き、サルーキのリタは美しく、グレート・デーンのアインシュタインは力持ちです。

ジェニーとその家の住人、サイクスとその手下であるドーベルマンのロスコーとデソートも、物語を彩る重要なキャラクターです。

アニメーション技術：コンピュータ作画の導入

『オリバー ニューヨーク子猫ものがたり』は、ディズニーアニメーション映画として初めてコンピュータによる作画を積極的に導入した作品としても知られています。フェイギンのスクーターのシーンや、クライマックスの追跡シーンなど、多くの場面でコンピュータグラフィックスが使用され、よりダイナミックな映像表現を実現しています。

興行収入と社会現象

本作は、前作を大きく上回る興行収入を記録し、ディズニーの新体制下での成功を印象付けました。また、マクドナルドのハッピーセットのおもちゃとしてディズニーキャラクターが登場するようになったのも、この作品からです。

音楽：魅力的な挿入歌の数々

作品をさらに盛り上げているのが、印象的な挿入歌の数々です。ビリー・ジョエルが歌う『Why Should I Worry?』は、本作を象徴する名曲として広く知られています。日本語吹き替え版では、松崎しげるさんなど、豪華な歌手陣が歌声を披露しています。

結論

『オリバー ニューヨーク子猫ものがたり』は、古典文学を基にしながらも、現代的なアレンジと豪華なキャスト、そして先進的なアニメーション技術を融合させた、ディズニーアニメーション史に残る名作です。子猫と犬たちの友情、そしてスリリングな冒険を通して、友情、家族の大切さ、そして勇気といった普遍的なテーマが描かれています。 一度鑑賞してみる価値のある作品と言えるでしょう。

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