オリー・ハルソール

オリー・ハルソール：早逝の天才ギタリスト、その音楽と生涯

オリー・ハルソール（Peter John "Ollie" Halsall、1949年3月14日 - 1992年5月29日）は、イギリス出身のギタリストであり、パトゥやボクサーといったバンドでの活動、そしてケヴィン・エアーズとの長きにわたるコラボレーションで広く知られています。左利きでありながら、その卓越したギターテクニックと音楽性は、多くのミュージシャンに影響を与えました。

生い立ちと初期の活動

マージーサイド・メトロポリタン・ボロー・オブ・セフトンのサウスポートで生まれたハルソールは、1966年にタイムボックスというポップロック・バンドにヴィブラフォン奏者として加入し、音楽キャリアをスタートさせました。その後、ギタリストとしても活動するようになり、バンドはマイク・パトゥをボーカルに迎え、パトゥへと発展。ハルソールのギターを前面に押し出した、プログレッシブ・ジャズ・ロックのような音楽を演奏しました。

パトゥ、テンペスト、そしてケヴィン・エアーズとの出会い

1973年、ハルソールはジョン・ハイズマンが結成したテンペストに加入しますが、短期間で脱退。その後はセッションワークを中心に活動し、ケヴィン・エアーズとのセッションがきっかけで、1974年にエアーズのバンド、ソポリフィクスの正式メンバーとなります。同時期には、ローリング・ストーンズからミック・テイラーの後任として加入を打診されたという逸話も残っています。

ボクサーとラトルズ

1975年には、パトゥが再結成され、ハルソールも参加。この再会が、マイク・パトゥとの新たなバンド、ボクサーの結成へと繋がります。ボクサーはデビュー・アルバム『ビロウ・ザ・ベルト』で注目を集めましたが、1979年にパトゥが病没し、バンドは解散しました。
ハルソールの録音で最も有名なものの一つに、1978年のアルバム『ザ・ラトルズ』があります。彼はこのアルバムで、数多くの楽器を演奏し、リード・ボーカルやバック・ボーカルも担当。「ダブルバック・アレイ」や「ウィズ・ア・ガール・ライク・ユー」、「ゲット・アップ・アンド・ゴー」といった楽曲で、その才能を発揮しました。

ケヴィン・エアーズとの蜜月、そして晩年

1976年、ハルソールはケヴィン・エアーズのバンドに再加入し、その後16年間にわたってエアーズとの関係を継続しました。1988年には日本公演にも参加し、初来日を果たしています。彼はエアーズと共にスペインのマヨルカ島で過ごすことが多く、現地のアーティストとの交流も深めました。1980年代には、スペインのシンセポップ・バンド、シネマズポップにも参加しています。

1992年5月29日、マドリードで薬物摂取による心臓発作のため、43歳の若さで亡くなりました。

音楽的評価と影響

アルヴィン・リー、ビル・ネルソン、アラン・ホールズワース、リック・ニールセンといったギタリストたちが、ハルソールから影響を受けたと公言しています。XTCのアンディ・パートリッジは、彼を「自分に影響を与えたトップ3」の一人に挙げ、「彼のギターは、アルバート・アイラーやジョン・コルトレーンのように、あるいはもっと、流れるように弾くピアニストのように聞こえた」と評しています。

ディスコグラフィ（一部）

ソロ・アルバム
『ケイヴス』 (1979年)
『アボッツ・ラングレー』 (1980年)
パトゥ
『パトゥ』 (1970年)
『ホールド・ユア・ファイア』 (1971年)
ボクサー
『ビロウ・ザ・ベルト』 (1975年)
『ブラッドレッティング』 (1979年)
ケヴィン・エアーズ
『夢博士の告白』 (1974年)
『悪魔の申し子たち〜その歴史的集会より』 (1974年)
ラトルズ
『ザ・ラトルズ』 (1978年)

オリー・ハルソールは、その短い生涯の中で、数多くの素晴らしい音楽を創造し、多くのミュージシャンに影響を与えました。彼の音楽は、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

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