オルソ補正

オルソ補正とは

オルソ補正（Orthorectification）とは、ラジコンヘリや航空機、人工衛星などから得られた空中写真や画像を補正して、正射投影された画像を作成する過程を指します。通常、空中からの写真撮影は、地表に対し必ずしも垂直ではないため、形成される画像には歪みが生じます。その結果、写真の位置関係が実際の地形と一致せず、地理情報システム（GIS）での利用が難しくなります。しかし、オルソ補正を施された画像は、地形の変化や傾きが取り除かれるため、通常の地形図と同様に利用可能です。

オルソ（正射投影）

オルソ補正では、投影点を無限遠にし、平行線で投影を行うことで、標高の影響によって生じる画像の歪みをなくします。この正射投影により、位置情報が正確になるため、GISにおいて非常に重要な役割を果たします。

オルソ補正の作成プロセス

オルソ補正は空中三角測量を用いて行われます。撮影された空中写真は、外部標定要素を考慮してデジタルステレオ図化機器で数値地形モデルに変換されます。その後、正射変換が施され、各写真ごとに正射投影画像が生成されます。ここでは、画像の中央部分を使用して、幾何的歪みの少ない状態でモザイク状の最終画像を作成し、格納単位に分けてオルソ画像データファイルが整理されます。

最近では、デジタルセンサやGNSS/IMUを利用することで、撮影前の準備が簡略化され、オルソ画像の作成が迅速になっています。

オルソ画像の実利用例

デジタル処理されたオルソ画像は、さまざまな分野で広く利用されています。広告や建築、映像制作、出版、さらには状況分析に至るまで多岐に渡ります。特に、森林のGISシステムでは、森林の境界確認や樹種判別のため、森林計画図や基本図とオルソ画像を重ねて利用します。また、道路設計等の初期設計でも正確な情報を提供するため、オルソ画像が重宝されています。

地方公共団体においては、オルソ画像による地番図や家屋図の作成が行われており、テレビ報道では事件の発生位置をオルソ画像に重ねて表示することもあります。さらに、日本政府の国土庁は、約1万分の1のスケールで撮影したカラー空中写真を用いてデジタルオルソ画像を1974年度から1990年度の間に生成しています。これらのデータは、国土地理院が提供している地図や空中写真の閲覧サービスを通じて広く公開されています。

また、危険地図（ハザードマップ）を作成する際にも、現実感のある資料を得るためにオルソ画像が活用されており、情報の正確性が求められる場面での重要性が一層高まっています。

参考文献

• - 長澤良太編『自然環境解析のためのリモートセンシング・GISハンドブック』（古今書院 2007）
• - 森田圭、「オルソ化空中写真による植生図の作成」、地図、2003年、41巻Supplement号、p.54-55.

このように、オルソ補正は、正確な空中画像の提供を通じて多くの地理情報関連の業務を支えています。

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