オルツ

株式会社オルツの概要

株式会社オルツは、東京都港区に本社を置く先進的な企業で、人工知能（AI）技術を活用した新しいビジネスモデルを展開しています。2014年11月に設立されたこの会社は、ベンチャー経営の経験を持つ米倉千貴氏により創業されました。米倉氏は、企業が規模を拡大する過程で直面する社長の業務時間の制約が、経営の大きな足かせになると考え、その解決策としてAIを活用した「自動社長ボット」の発想を具現化することを目指しました。

事業の発展とAI技術の利用

オルツは、特にパーソナル人工知能の開発に注力しています。2019年には本社を東京都港区に移転し、2024年には東京証券取引所のグロース市場に上場するという大きな成長を遂げました。企業のデジタルクローン技術を駆使し、対象者の最低13項目の情報をもとにその人の性格を再現できる仕組みを導入しました。これにより、講演会への出演や事業説明など、当人に代わって業務を行わせることが可能になりました。また、2020年には音声認識技術を用いた議事録作成ソフト「AI GIJIROKU」をリリースし、業務効率の向上を図りました。

不祥事と業績の悪化

しかし、オルツは2025年に大きな試練を迎えました。4月27日、証券取引等監視委員会が該社に対し、有価証券報告書の偽情報記載疑惑で強制調査を実施しました。その結果、AI GIJIROKUの売上が循環取引に基づく架空のものであることが判明し、第三者調査委員会が設置される事態になりました。今年7月には調査委員会の報告書が公開され、2021年以降に計119億円以上の売上が過大計上されていることが明らかになりました。これにより、米倉社長は辞任し、最高財務責任者の日置友輔氏が新たな社長に就任しました。

2025年7月25日には、東京証券取引所がオルツを監理銘柄に指定し、その後、8月31日付で上場廃止が決定されました。上場からわずか10か月余りでの決定は、多くの投資家に衝撃を与えました。この不祥事を受けて、オルツは深刻な財務状況に陥り、同年に民事再生法の適用を申請することとなり、とりあえずの倒産状態に陥りました。負債総額は約24億円に達しました。

事業再生の見通し

オルツは、事業を継続しつつ、スポンサーの支援を受けながら再生を目指す方針を打ち出しました。2025年9月には臨時株主総会が開催されましたが、必要な議案が承認されず流会となりました。改めて行われた9月29日の臨時株主総会では、不正に関与した幹部らの辞任が決議され、組織の再編が図られました。10月1日には、AI GIJIROKUというサービスが同年10月31日で終了する意思を表明し、経営の透明性を高める意向が示されました。さらに10月9日には、過去の不正会計に関与したとして、旧経営陣が金融商品取引法違反で逮捕される事態に発展しました。

結論

株式会社オルツは、AI技術を駆使した革新的な取り組みで注目を集めた企業であるものの、不祥事によってその信用は大きく揺らいでいます。今後の再生に向けた取り組みがどのような結果をもたらすのか、引き続き注視する必要があります。

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