オルトメトリクスとは？意味をやさしく解説

オルトメトリクスについて

オルトメトリクス（altmetrics）とは、学術論文の影響力を評価するための新しい指標の総称です。従来の指標であるインパクトファクター（IF）やh指数では捉えきれない、論文の社会的影響を視覚化することを目的としています。この概念は2009年から2010年ごろに提唱され、主にソーシャルメディアやマスコミなどから得られるデータを基に、論文や研究成果の評価を行います。

背景と特徴

学術研究の評価においては、従来、論文の数や引用回数が主な指標として用いられてきました。しかし、これらの従来の方法では、論文の長期的な影響や、出版後の引用までのタイムラグなど、多くの問題点が指摘されています。また、インパクトファクターは学術雑誌の影響度を計測するものであり、個々の論文や著者の実績を正確に反映するものではありません。これらの問題を解決するために、オルトメトリクスは創造的に新たな指標を提供することが期待されています。

いいましょう、オルトメトリクスは論文の影響を幅広く測定するのに役立つ新たな方法です。具体的には、閲覧数やダウンロード数、ソーシャルメディアでの言及など、様々なデータを取り入れることで、より包括的な評価を行うことができるのです。

観点と分類

オルトメトリクスは、以下のような指標に分類されます：

- 閲覧（Viewed）: ウェブページの閲覧回数やPDFダウンロード回数。
- 話題（Discussed）: ジャーナルのコメントやブログ、ソーシャルメディアでの言及。
- 保存（Saved）: Mendeleyなどのソーシャルブックマークでの保存回数。
- 引用（Cited）: 学術的な引用の回数。
- 推薦（Recommended）: 専門家やコミュニティからの推薦。

これらの要素は、研究者や機関が自らの成果を広める際に、具体的な数値として示すことができるため、研究活動への影響を多面的に評価する手がかりとなります。

採用状況

2013年の時点で、オルトメトリクスを提供するサービスは数多く登場しています。例えば、Altmetric.comやImpactStoryなどがあり、これにより研究者は個々の論文の影響をリアルタイムで把握することができるようになりました。大手出版社もオルトメトリクスを用いた評価を開始し、研究資金配分機関もこの新たな指標に注目を寄せています。

解釈および問題点

オルトメトリクスによって測定されるのは、論文が与えた影響や興味の度合いであり、その評価は人々の科学的知識への寄与を正確には示していない場合があるため注意が必要です。また、単に数値が高いからといって、その論文が必ずしも科学に良い影響を与えたわけではない点にも留意しなければなりません。引用の中には批判や反対意見も含まれることがあり、これが評価指標に影響を及ぼす危険性があります。

特に、オルトメトリクスは新しい論文に対してバイアスを持ちがちなため、時期によって評価に差が生じやすいのが懸念されています。さらに、データの収集方法の違いにより同じ論文に対して異なる数値が得られる場合もあります。

結論

オルトメトリクスは、従来の評価指標では捉えきれない社会的影響を多面的に分析し、よりリアルタイムに研究成果の影響を可視化する新たなアプローチです。しかし、その利用には注意が必要であり、他の指標と組み合わせて、よりバランスの取れた評価を行うことが求められています。

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