オルドビス紀

オルドビス紀（Ordovician period）は、古生代の初期に位置し、約4億8830万年前から約4億4370万年前までの期間を指します。この時代は、地球の歴史において重要な生物の多様化が進行した時期であり、特に海洋生物が栄えました。オルドビスという名前は、イギリスのウェールズ地方に住んでいた古代のケルト系部族「オルドウィケス族」にちなんで名付けられました。また、奥陶紀とも呼ばれることがあります。

生物の多様化

オルドビス紀はカンブリア紀に匹敵する生物の多様化が見られた時代です。特に、オウムガイを代表とする軟体動物や、三葉虫のような節足動物が豊富に存在し、また筆石などの半索動物も繁栄しました。生物の多様性は生態系の複雑化を促し、特に温暖な海洋環境がその背景にあったと考えられます。

この時代には、顎を持つ魚類も登場し、地球上の生態系に大きな影響を与えました。彼らは新たな捕食者となり、海洋の食物連鎖に変化をもたらしました。オルドビス紀の生物多様性は、後の地質年代における生物の進化の基盤となる要素を提供しました。

時代区分

オルドビス紀は、さらに7つの時代に分割されます。それぞれの時代は以下の通りです。

- ヒルナント期 (Hirnantian): 約4億4370万年 - 4億4560万年前
- ケイティ期 (Katian): 約4億4560万年 - 4億5580万年前
- サンドビ期 (Sandbian): 約4億5580万年 - 4億6090万年前
- ダリウィル期 (Darriwilian): 約4億6090万年 - 4億6810万年前
- ダーピン期 (Dapingian): 約4億6810万年 - 4億7180万年前
- フロー期 (Floian): 約4億7180万年 - 4億7860万年前
- トレマドッグ期 (Tremadocian): 約4億7860万年 - 4億8830万年前

大量絶滅

オルドビス紀の終焉は、大規模な大量絶滅によって特徴付けられます。この絶滅事変は、地球の顕生代における5つの大絶滅の1つであり、特にその規模ではペルム紀末に次ぐものとされています。約22%の海生多細胞生物の科が、49%の属が絶滅したと言われています。特に、腕足類やコケムシ類などが大きな影響を受けました。

大量絶滅の原因は明確ではありませんが、この時期には大陸が南極域に存在し、短期間に大陸氷河が発達していたことが関連しているとされています。絶滅の過程では、氷床の形成により海水準が低下した時期と、氷河の消失による海水準の上昇の2つの現象が確認されています。これらの環境変化が、生態系に大きな影響を与え、多くの生物が絶滅する要因となったと考えられています。

オルドビス紀は、地球の生物史における重要な時代として、さまざまな生物の進化や絶滅の過程を理解するための貴重な時代区分となっています。

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