オルフェオ・バロック管弦楽団

概要

オルフェオ・バロック管弦楽団（L'Orfeo Barockorchester）は、オーストリアの美しい都市リンツに拠点を置く、国際的に高い評価を受ける古楽器オーケストラです。1996年の設立以来、歴史的に正確な演奏技法と楽器を用いて、バロック時代から初期ロマン派に至る幅広い時代の音楽を探求し、その隠された魅力を現代に蘇らせる活動を展開しています。

設立と歩み

楽団は1996年、リンツにあるアントン・ブルックナー私立大学（演劇・音楽・舞踏部門）において、ヴァイオリニストのミヒ・ガイグ氏と管楽器奏者のカリン・ヴァン・ヘールデン氏らを中心とする熱意ある音楽家たちによって創設されました。大学という学術的な環境を基盤としつつ、実践的な演奏活動を通じて古楽への理解を深め、その普及に貢献することを目的としてスタートしました。

設立以降、オルフェオ・バロック管弦楽団は精力的なコンサート活動を展開する一方、数多くの優れた録音を発表してきました。その高い芸術性はヨーロッパ各地で注目を集め、権威ある音楽賞も複数受賞するなど、確固たる地位を築いています。彼らの演奏は、古楽器ならではの繊細かつ力強い響きを生かし、作品が書かれた時代の様式や精神性を深く掘り下げることに成功しており、聴衆や評論家から常に高い評価を得ています。

音楽監督は、創設者の一人であるミヒ・ガイグ氏が務めています。彼の明確なヴィジョンと的確な音楽的指示のもと、楽団は一貫した芸術的方向性を保ち、探求心に満ちた質の高い演奏を追求しています。

幅広いレパートリー

オルフェオ・バロック管弦楽団のレパートリーは非常に多様であり、その最大の特徴の一つです。単に広く知られたバロック音楽の傑作を演奏するだけでなく、埋もれていた無名の作品、あるいは同時代の傍流に位置づけられていた作品の発掘と蘇演に並々ならぬ情熱を注いでいます。彼らは、フランスの華麗で色彩豊かな管弦楽組曲、例えばジャン＝フィリップ・ラモーやジャン＝フェリ・ルベルの作品から、ドイツの疾風怒濤期における感情豊かで劇的なシンフォニー、例えばイグナーツ・ホルツバウアーの作品、さらには古典派を経て初期ロマン派であるフランツ・シューベルトの交響曲まで、時代や地域、ジャンルを超えた幅広いプログラムを展開しています。

特に、楽劇、すなわちオペラやオラトリオの演奏にも積極的に取り組んでいます。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト、クリストフ・ヴィリバルト・グルック、ゲオルク・フィリップ・テレマン、フランツ・ヨーゼフ・ハイドン、ゲオルク・ベンダ、ジョアキーノ・ロッシーニといった、バロックから古典派、初期ロマン派にかけての重要な作曲家たちのオペラ作品を数多く上演し、その音楽的発見と質の高い演奏は高く評価されています。

録音と上演の成果

楽団の活動の重要な柱の一つが録音です。彼らは主にcpo、deutsche harmonia mundi (dhm)、Sony Classicalといった主要なレーベルから、数多くのアルバムをリリースしています。これらの録音には、前述のような発掘された作品が多く含まれており、ヤン・クシチテル・ヴァーゲンザイル、ベネディクト・アウフシュナイター、ヨハン・アントン・フィルツ、ヨゼフ・ミスリヴェチェク、ヨハン・クリスティアン・フィッシャーといった作曲家の交響曲や協奏曲、セレナーデなどが世界初録音として収められています。また、ヨハン・クリスティアン・バッハの宗教作品集、レオポルト・モーツァルトの交響曲集、テレマンのヴァイオリン協奏曲全集など、より知られた作曲家の知られざる側面にも光を当てています。モーツァルト、テレマン、ハイドン、ロッシーニらのオペラやアリア集の録音も、彼らのオペラへの取り組みを示す重要な成果です。

これまでに上演したオペラ作品も特筆すべきです。テレマンの「ミリウェイズ」「オルフェウス」「ドン・キホーテ」、モーツァルトのオラトリオ「開放されたベトゥーリア」や歌劇「ツァイーデ」、グルックの「オルフェウスとエウリディケ」、ロッシーニの初期喜劇「結婚手形」「絹のはしご」「ブルスキーノ氏」、ハイドンの「無人島」、ゲオルク・ベンダの「ロメオとジュリエット」、イグナーツ・ホルツバウアーの「森林の息子」など、バロックから初期ロマン派にかけての多様な作品に取り組んでいます。これらのオペラ上演は、しばしば録音としてもリリースされ、楽団の多角的な活動を示すものとなっています。

オルフェオ・バロック管弦楽団は、古楽器演奏の分野において、単なる過去の音楽の再現に留まらず、失われた傑作に新たな生命を吹き込み、聴衆に驚きと感動を提供し続ける、意欲的な活動を続けています。彼らの探求心と高い演奏能力は、古楽界において重要な存在感を示しています。

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