オレンダ・エンジンズ

オレンダ・エンジンズの概要

オレンダ・エンジンズ（Orenda Engines）は、カナダに本社を置く航空用エンジンの製造および部品供給業者です。後のホーカーシドレー・カナダの基盤となったこの企業は、1950年代から1970年代にかけて数多くの軍用ジェットエンジンを製造し、カナダ最大のエンジン供給と修理業者としての地位を確立しました。

歴史

起源

オレンダの歴史は第二次世界大戦まで遡ります。当時、カナダ国立研究所（NRC）は航空機に関する小規模な研究を行っており、1942年には2名の研究者をイギリスへ派遣し、航空機エンジンの独自開発の必要性を認識しました。この調査から、フランク・ホイットルによる初の作動するジェットエンジンに注目が集まり、カナダ空軍はアメリカとイギリスに依存する状況から脱却するため、ジェットエンジンの開発を進めることを決定します。

1943年、NRCのメンバーは最高機密の「バンク報告書」を発表し、イギリスにおけるジェットエンジン開発の進捗を踏まえ、カナダ独自のエンジン会社の設立を提案しました。これを受けて、1944年には国有企業としてターボ リサーチが設立され、連携する研究者たちが集められました。

ターボ リサーチとアブロ・カナダ

ターボ リサーチでは、初期の遠心式圧縮機を基にしたTRシリーズの開発が進められますが、最終的には軸流式圧縮機を用いた新たな設計に転換します。同時期、アブロ・カナダは新しい工場を設立し、ターボ リサーチからのエンジン開発を引き継ぎました。

1948年に開発されたTR.4（チヌーク）は、2,600 lbfの推力を持ち、カナダでのジェットエンジン開発の重要なステップとなります。その後、より強力な推力を求めてTR.5が開発され、CF-100 カナック要撃機用のエンジンとして使用されました。

オレンダの誕生

1955年、再編成によってオレンダ・エンジンズが設立され、エンジンの修理を主な事業とする意図が示されます。1959年、オレンダはF-104 スターファイター用のゼネラル・エレクトリックJ79エンジンの製造契約を受注し、迅速に生産体制を整備しました。以降、478基のエンジンがオレンダから出荷され、その一部は依然として運用に寄与しています。

イロクォイの開発

1953年、CF-105 アロー計画用のエンジンとして、オレンダ社は独自のPS.13 イロクォイを提案しました。このエンジンは、試作段階から圧倒的な性能を誇り、1954年には試運転に成功します。しかし、計画は資金不足と他の要因により中止されることになります。

オレンダ エアロスペース

1980年代にはマゼラン・エアロスペースが設立され、オレンダなど複数の航空宇宙企業を次々と買収し、業務を拡大しました。オレンダは高精度な回転機構やエンジン部品の製造を行い、ゼネラルエレクトリックやプラット&ホイットニーとの提携を組みました。

製品と影響

オレンダ・エンジンズの主要な製品には、アブロ・カナダによるチヌークやオレンダ、イロクォイが含まれます。また、ゼネラル・エレクトリックのJ79やJ85エンジンのライセンス生産も行われ、さまざまな軍用機に供給されました。オレンダ・エンジンズは、その多岐にわたる技術的成果と製品により、カナダ国内外の航空産業に多大な貢献を果たしています。

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