オロシザメ

オロシザメ (Oxynotus japonicus)

オロシザメは、オロシザメ科に属するサメの一種で、主に日本、台湾、インドネシア周辺の深海域で生息しています。最大で64.5cmに達し、特徴的な暗褐色の体色と粗い皮膚を持つのが特徴です。特に日本の北半球の太平洋においては、この種のみが確認されており、その生態は現在も不明な点が多いです。国際自然保護連合（IUCN）はこの種を危急種に指定しています。

分類

オロシザメは1985年に日本の魚類学者、矢野和成により記載されました。この際の標本は静岡県戸田村で捕獲されたもので、水深225メートルから270メートルの底引き網漁によって得られました。矢野氏は、駿河湾の深海域でこの種を再記載し、名付け親となりました。

分布

オロシザメは熱帯から温帯にかけて点在して生息しており、主に駿河湾やインドネシアの深海域で記録されています。通常、水深150メートルから400メートルの海域において確認されており、地形の急激な変化に伴う海底での捕獲が多くなっています。視覚記録がとても少なく、特に駿河湾では多くの標本が確認されています。また、さまざまな環境からの記録もあり、他の地域での捕獲例があるものの、種の同定が必ずしも確立されていないケースもあります。

形態

オロシザメは、独特の形状を持つサメで、特に背鰭の棘は後方に少し傾いています。そして、盾鱗が粗く、表面がまるでおろし金のようであることから、その名が付けられました。また、顔つきはタヌキに似ているため、「オロシタヌキ」といった別名も提案されています。

生態

このサメは極めて珍しいため、生態に関する情報は限られています。駿河湾では2014年に水深250メートルで捕獲された個体があり、その際は興味を示さずに9日後に死亡しました。そのため、オロシザメが何を食べているのかも不明なままです。雌は59.4センチメートル以上、雄は54.0センチメートル以上で性成熟することが知られています。

人との関連

オロシザメの多くは底引き網で捕獲されていますが、漁業圧にさらされているため、IUCNはこの種を危急種としています。生息環境が深海にあることや、捕獲数が少ないことから、水族館での飼育例も非常に限られています。

2011年から2021年にかけても、さまざまな水族館で短期間飼育された記録が残っています。例えば、2014年には沼津港深海水族館での飼育が行われましたが、餌を食べることはなく、わずか9日間で命を落としてしまいました。こうしたことから、オロシザメの生態や神秘に包まれた生活リズムは、今後も研究の対象となるでしょう。

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