オロフ・パルメ

スヴェン・オロフ・ヨアキム・パルメ

スヴェン・オロフ・ヨアキム・パルメ（1927年1月30日 - 1986年2月28日）は、スウェーデンの政治家として重要な役割を果たし、二度にわたり同国の首相を務めた。彼は、スウェーデンの社会民主労働党のリーダーとして、内政と外交の両面で影響力を持ち続けたが、彼の生涯は1996年に刺客に命を狙われたことで大きな陰影を残した。

生涯

パルメはストックホルムで生まれ、ストックホルム大学を卒業後、アメリカ合衆国に渡りケニオン大学で法学を学んだ。彼は1949年にスウェーデン社会民主労働党に入党し、ターゲ・エルランデル首相の秘書として政治の世界に足を踏み入れた。1957年には上院議員に当選し、1963年からはエルランデルの下で無任所相を務めた。その後、運輸通信相、教育相を経て、1969年には42歳で社会民主労働党の議長および首相に就任した。

彼が首相に就任した際、彼の政権は大企業の国営化や核エネルギー導入といった物議を醸す政策を進めた。1970年代の総選挙では、特に1976年の選挙で大敗を喫し、44年ぶりに社会民主労働党が下野する事態となった。しかし、1982年の選挙で反対派の失策を突き、再び政権を奪還した。

暗殺

パルメが首相職にあった1986年の深夜、ストックホルムの通りで黒いオーバーを着た男によって射殺された。この事件は「オロフ・パルメ暗殺事件」として知られ、国内外に衝撃を与えた。その後、彼の遺族に関する証言を元に逮捕されたクリステル・ペターソンが一時的に容疑者となるが、最終的には無罪となっている。さらに、ソ連国家保安委員会（KGB）がこの暗殺に関与していたのではないかという噂も流れたが、明確な証拠は見つかっていない。

2006年には、暗殺に使われたとされる拳銃が湖底で発見され、その後の調査で2020年にスティグ・エングストロムの名前が最重要容疑者として浮上したものの、彼はすでに故人であった。

政策と思想

パルメは特に内政で論争を巻き起こすような政策を推進したが、外交政策の分野では高い評価を受けた。特に第三世界への関心を示し、1981年に設立された国連軍縮委員会では、委員長として平和主義を貫いた。また、彼は共産主義については否定的であり、その独裁的な側面を強く嫌悪していた。

ベトナム戦争に対するアメリカの介入を強く批判し、多数の兵役忌避者や脱走兵を受け入れる姿勢を見せた。また、南アフリカのアパルトヘイト政策やフランコ政権にも抗議し、反核運動にも力を注いだ。

IB事件

IB事件は、スウェーデンの秘密諜報機関IBにによる違法な監視活動が暴露された事件で、パルメ首相もその影響を受けた。IBは共産主義とみなされる人物の情報を収集しており、多くの問題提起を引き起こした。この事件は、スウェーデンの情報活動の透明性の欠如や政治的自由の危険などを浮き彫りにし、国政に大きな影響を与えた。

日本との関係

パルメは1981年に広島市を訪れ、原爆の歴史に思いを馳せた。この行動は、彼が戦争と平和の重要性を深く理解していたことを示している。

まとめ

スヴェン・オロフ・ヨアキム・パルメは、スウェーデンの近代政治において重要な影響を与えた政治家であり、彼の政策や暗殺は今もなお多くの議論を引き起こしている。彼の功績と悲劇的な運命は、スウェーデンの歴史の中で決して忘れられないものである。

もう一度検索