オングストローム

オングストロームについて

オングストローム（記号: Å）は、非常に小さな長さを測定するための非SI単位です。この単位は、主に原子や分子の大きさ、さらには可視光の波長などを表す際に使用されます。1オングストロームは、10^-10メートル、つまり0.1ナノ[[メートル]]に相当し、100ピコメートルに等しいとされています。

オングストロームは、その小ささから分光学の分野において非常に有用であり、これらの測定は通常、数千オングストロームのオーダーに及ぶことから、特に便利用があります。そのため、かつては広く使われていましたが、2019年以降の国際単位系では公式にこの単位の併用が認められなくなっています。日本の計量法においては、オングストロームは特定の用途、具体的には電磁波の波長や表面の粗さ、結晶格子に関連する長さの測定に限り、法定計量単位として認められています。その他の用途には使用できません。

記号と表記

オングストロームの記号は、リング付き大文字の「Å」で、日本の計量法と国際単位系のどちらでも同じです。この記号は、物理的な測定の場合に標準的に用いられます。

国際単位系における位置付け

国際単位系（SI）におけるオングストロームの位置付けは、これまでに幾度となく変遷してきました。初版から第6版までの期間では、暫定的にSI単位と併用できる単位として扱われていましたが、第7版ではその使用が許可された非SI単位となりました。第8版では特定の分野での使用が認められたものの、単位の定義をSI単位で行う必要がありました。そして、2019年に発行された第9版においては、オングストロームについては一切の記載がされず、SI単位とは併用できないことが明記されました。

歴史的背景

オングストロームという単位の起源は、スウェーデンの物理学者アンデルス・オングストロームに遡ります。彼は1868年に物理学的な測定のために10^-10メートルの単位を使用しましたが、この単位としての名前は特に付けられませんでした。その後、この単位がオングストローム単位（ångström unit）と呼ばれるようになり、略称として「オングストローム」が定着しました。国際天文学連合（IAU）は1907年にオングストロームを公式な国際標準として採用しました。この際、オングストロームは「特定波長におけるカドミウムの赤線の仕様のもとでの1/6438.4696メートル」として再定義されました。

1960年にメートルが新たに定義された際、オングストロームという単位の古い定義と新しい定義が併存することになり、1.0000002×10^-10メートルという微細な差異が生じました。オングストロームは、特にその精密さから多くの分野での測定に重宝されてきましたが、今日ではSI単位への移行が進んでいるため、その使用頻度は減少しています。

近代における使用状況

オングストロームは非SI単位であるため、理化学や工業分野、教育現場での一般的な使用は減少しています。しかし、その便利さから、現在でも特定の分野ではオングストロームを用いた測定が行われています。特に分光学において、その精度や便宜性などからいまだに一定の需要があります。

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