オーガスタス・フィッツロイ (第3代グラフトン公)

第3代グラフトン公爵オーガスタス・ヘンリー・フィッツロイ

オーガスタス・ヘンリー・フィッツロイ（1735年 - 1811年）は、イギリスの政治家であり、貴族でもあります。1768年から1770年までホイッグ党に属して首相を務めました。彼の生涯は政治的活動だけでなく、私生活や特に競馬への情熱でも知られています。

生い立ちと教育

1735年にグラフトン公爵家に生まれ、幼少期には父親を早くに亡くしました。教育はケンブリッジ大学ピーターハウスで受け、1753年には修士号を取得しました。その後、フランスやイタリアを旅行し欧州の文化に触れた経験を持っています。公爵は名門に属しながらも、さまざまな人脈を持ちました。特に大ピット伯爵との文通や、トマス・ペラム＝ホリスとのつながりがあったことが後の政治活動に影響を与えました。

政界入り

1756年に国王ジョージ2世の寝室侍従に任命された後、庶民院の議員として活動を始めます。彼は短期間で貴族院に移籍し、サフォーク統監としての役職に就きました。1760年にはジョージ3世の政権に対して反抗的な立場をとり、特に大ピット伯爵との関係が注目されました。1765年、彼はロッキンガム侯爵内閣の一員として北部担当国務大臣として活動を始めました。

首相在任中の活動

オーガスタスは1766年にチャタム伯爵内閣の第一大蔵卿に任命され、これ以降彼は実質的に政治を主導することとなりました。ただ、彼は強硬派と融和派の両方の意見をまとめることが難しく、内閣内での意見対立が浮き彫りになりました。特に米州植民地政策においては、彼自身は融和的な立場をとったものの、閣内では強硬派の意向が支配的でした。

政権の崩壊

1769年、グラフトンは議会内での反発を受け、次第に政府内の人間関係が悪化し、最終的には総辞職に追い込まれました。彼が推進したウィルクスの釈放を求める運動は、民衆の支持を集め、反発勢力との連携を助けました。

私生活と趣味

穏やかな性格の公爵だったが、彼の私生活は波乱に富んでいました。妻アンとの関係は冷え切り、愛人ナンシー・パーソンズとの関係が知られるようになりました。このようなトラブルに加え、競馬への情熱も彼の公務に影響を与えたと言われています。特にニューマーケット競馬場での出来事は、彼の政治生活を揺るがすきっかけとなりました。

競馬における功績

グラフトン公爵は若い頃から競馬に熱心であり、自らの邸宅周辺に競馬場を整備したほどです。彼は数多くの馬を生産し、特に「タイラント」を含むダービー勝ち馬をもっています。これにより、彼の名が歴史に刻まれ、現代のサラブレッドの繁殖においても重要な役割を果たしました。

晩年と死

彼は後に神学に傾倒し、1784年に国教会を離脱しました。1811年に75歳で亡くなるまで、その人生はイギリスの政界において重要な影響を与え続けました。彼の遺産は、政治だけでなく、競馬や牧場経営にも残されており、後の世代の発展に寄与しました。

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