オーギュスト・マルモン

オギュスト・フレデリク・ルイ・ヴィエス・ド・マルモンの生涯

オギュスト・フレデリク・ルイ・ヴィエス・ド・マルモン（1774年7月20日 - 1852年3月22日）は、フランスの軍人、貴族、政治家として知られます。彼は、ナポレオン1世の下級士官時代から忠実な部下として仕えましたが、最終的にはその恩人に背く結果となりました。マルモンは、その生涯で数々の戦争に参加し、多くの功績をあげる一方で、歴史的な決断によってその名は賛否が分かれるものとなりました。

早期の生涯と軍歴

マルモンは、パリ近郊のシャティヨン＝シュル＝セーヌで裕福な家庭に生まれました。彼の父もまた軍人であり、その影響を受けて自身も軍人の道を選びました。1792年には士官学校を卒業し、18歳で少尉となります。彼は1793年のトゥーロン攻囲戦でナポレオンの副官としての役割を果たし、以後もナポレオンとの密接な関係を築いていきます。

1796年から1798年のイタリア戦役やエジプト戦役で数多くの戦争で勝利を重ね、により将軍に昇進しました。しかし、1804年になっても元帥に昇任することは叶いませんでした。1809年にはヴァグラムの戦いで功績を残し、ようやく帝国元帥に任命されることになります。

軍事的な業績と影響力

彼の軍歴の中で特に重要なのは、グリボーバル・システムの後継としての役割です。これはフランス革命戦争を通じて得た経験を基に、砲兵部隊の軽量化と効率化を図ったもので、彼の技術者としての側面が特に強調されます。リーダーシップを発揮し、共和暦11年（1803年）には新しいシステムを制定することで、フランス軍の運用に大きな変革をもたらしました。

降伏とその後の人生

1814年、連合軍がパリに近づく中で、マルモンはパリの防衛を任されていました。しかし、圧倒的な敵軍の数を前に、彼はやむを得ず降伏を決意。ジョゼフ・ボナパルトの許可を得て、パリの開城を実現させました。この行動が結果としてナポレオンの退位の一因となることから、彼の名声は一変します。

ナポレオンは彼を激しく非難し、回想録においても厳しい言葉を投げかけましたが、遺書にはマルモンを許す言葉が記されていたことから、二人の関係は一筋縄ではいかない複雑なものでした。

その後、王政復古の際にはルイ18世に仕官し、近衛部隊の参謀総長に任命されますが、その時代での彼の目立った業績は少なかったと言えます。1830年の7月革命では、再び政治的な混乱に直面し、最終的にはイギリスへと亡命していくことになります。

死去と歴史的評価

1852年、78歳でヴェネツィアにて死去。彼の生涯は多くの戦争と栄光、そして非常に複雑な政治的背景に彩られたものです。マルモンの名は、彼の戦歴と裏切りが織り交ぜられ、歴史的な議論の対象であり続けています。彼の業績は後のフランス軍における戦術や組織の発展に寄与したことから、その影響は決して小さくありません。

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