オースティン・ヴァンダーフォード

アメリカ合衆国出身の男性総合格闘家、オースティン・ヴァンダーフォードは、1990年 3月21日にカリフォルニア州サンタローザで生を受けました。生後間もなく、家族とともにアラスカ州ニニルチクへと移り住み、そこで成長期を過ごします。現在はグレイシーバッハ・ポートランドおよびアメリカン・トップチームに所属しています。

輝かしいレスリングキャリア

オースティン・ヴァンダーフォードは幼少期からレスリングに親しみ、その才能を大きく開花させました。高校時代には、2006年に152ポンド級、翌2007年には160ポンド級と、異なる階級で二度にわたりアラスカ州王者に輝くという、アマチュアレスリングにおける類まれな実績を残しています。卒業後、南オレゴン大学へ進学すると、その実力はさらに際立ちました。大学リーグであるNAIA（全米大学間競技協会）において、2012年に184ポンド級で全米王者に君臨。さらに、レスリング界で名誉とされるオールアメリカンにも二度選出されるなど、大学でもトップレベルの成績を収めました。

大学卒業後は、数年間母校などでレスリングコーチとして後進の指導にあたり、その経験が彼の総合格闘技キャリアにおける強力なグラウンドスキルの基盤となります。

総合格闘技への転身

レスリングコーチとしての活動を経て、オースティン・ヴァンダーフォードは新たな挑戦として総合格闘技の世界へ足を踏み入れます。2015年にアマチュア総合格闘家としてデビュー。ここでもすぐに頭角を現し、FCFFミドル級王座やRPMMAウェルター級王座を獲得するなど、アマチュアながら複数の団体のベルトを手にしています。これらの経験を経て、2017年には満を持してプロ総合格闘技の舞台へ上がりました。

プロ初期にはCSウェルター級王座を獲得するなど順調な滑り出しを見せましたが、2018年には世界最高峰の舞台であるUFCへの直接契約を目指し、『Dana White's Contender Series』に出場。アンヘロ・トレヴィーノ相手に2ラウンド、リアネイキドチョークによる一本勝ちを収める圧勝劇を見せるも、惜しくもこの時点でのUFCとの契約は実現しませんでした。

Bellatorでの活躍と世界王座挑戦

UFCとの契約を逃した後、オースティン・ヴァンダーフォードはアメリカの主要総合格闘技団体の一つであるBellatorと契約。2019年2月15日、Bellator 215でコーディ・ジョーンズを相手にBellatorデビュー戦を行い、得意の寝技で1ラウンド、肩固めによる一本勝ちを収め、鮮烈な印象を残しました。

Bellatorミドル級戦線において、彼はその強力なグラウンド能力と着実な打撃の成長を武器に、連勝を重ねていきます。2021年5月21日に行われたBellator 259では、当時ランキング4位の強豪ファビアン・エドワーズとの対戦が組まれました。この重要な一戦で、オースティンは終始試合を優位に進め、3-0の明確な判定勝利を収め、ミドル級のトップコンテンダーとしての地位を確固たるものとしました。

この活躍が認められ、彼は遂にBellator世界ミドル級タイトルへの挑戦権を獲得します。2022年2月25日開催のBellator 275で、当時の絶対王者ゲガール・ムサシとのタイトルマッチが実現しました。世界の頂点をかけたこの大一番では、ムサシの猛攻を受け、1ラウンドにパウンドによるTKO負けを喫し、惜しくも王座獲得はなりませんでした。

UFCへの移籍と新たな一歩

Bellatorでの世界タイトル挑戦を経て、オースティン・ヴァンダーフォードは活動の場を世界最高峰の舞台であるUFCへと移します。2025年2月22日に行われた『UFC Fight Night: Cejudo vs. Song』にて、ニコライ・ヴェレテンニコフを相手に待望のUFCデビュー戦を行いました。この記念すべき一戦で、彼は持ち前の粘り強さと攻撃力を発揮し、2ラウンドにパウンドによるTKO勝利を収め、UFCキャリアを最高の形でスタートさせています。

人物

オースティン・ヴァンダーフォードは、同じくプロ総合格闘家として活躍するペイジ・ヴァンザントと結婚しています。総合格闘技界におけるアスリート夫婦としても注目を集めています。

主な獲得タイトル

プロ総合格闘技
CSウェルター級王座（2017年）
アマチュア総合格闘技
FCFFミドル級王座（2016年）
* RPMMAウェルター級王座（2016年）

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