オーストラリア憲法

オーストラリア憲法：国家の礎

オーストラリア憲法は、オーストラリアという国家のあり方を定める、極めて重要な法体系です。この憲法は、単一の文書ではなく、以下の3つの主要な法律によって構成されています。

オーストラリア連邦憲法
ウェストミンスター憲章
* 1986年オーストラリア法

オーストラリア連邦憲法

オーストラリア連邦憲法は、その名の通り、オーストラリア連邦の設立と統治の基本を定めています。この憲法は、オーストラリアがまだイギリスの植民地であった時代に、イギリスの法律として制定されました。そのため、前文においては、英国国王がオーストラリアの国家元首であり、その代理として総督が置かれることが明記されています。

立法府

第一章では、立法府である連邦議会について規定されています。連邦議会は、二院制を採用しており、上院（元老院）と下院（代議院）によって構成されます。それぞれの議員の選出方法や任期などが詳細に定められています。

行政権

第二章では、行政権について規定されています。特に重要なのは、第63条です。この条文によれば、首相は連邦行政機関から選出され、総督はその助言に基づいて行動しなければならないとされています。しかし、1975年にジョン・ロバート・カー総督がゴフ・ホイットラム首相を解任した事件は、この条文の解釈を巡って大きな議論を呼びました。憲法第64条には、総督による首相の罷免権が明記されており、カー総督の行為は憲法上違憲ではないと解釈されていますが、その政治的な影響は非常に大きなものでした。

司法権

第三章では、司法権について規定されています。オーストラリアの最高裁判所である高等裁判所は、憲法の解釈を行う最終的な権限を有しています。高等裁判所の判決は、オーストラリアの法体系全体に大きな影響を与えます。

ウェストミンスター憲章

ウェストミンスター憲章は、1942年にオーストラリアで採択されました。この憲章の採択により、オーストラリア政府は、イギリスの法律に縛られることなく、軍事、外交、内政政策を独自に決定することが可能となりました。これは、オーストラリアが名実ともに独立国となる上で、非常に重要な一歩でした。

1986年オーストラリア法

1986年オーストラリア法は、オーストラリアとイギリスの関係をさらに明確化し、オーストラリアの完全な独立を確立するための法律です。この法律によって、イギリスの議会がオーストラリアに対して法律を制定する権限は完全に廃止されました。

オーストラリア憲法は、制定から長い年月を経て、社会の変化や新たな課題に対応するために、何度か改正されています。しかし、その基本的な枠組みは変わることなく、オーストラリアの民主主義と法の支配を支え続けています。憲法の理解は、オーストラリアの政治、社会、文化を理解する上で不可欠です。

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