オーストラロイド

オーストラロイドとは

オーストラロイド（またはオーストラロ・メラネシアン）は、人種概念の一つで、コーカソイド、ネグロイド、モンゴロイドと並ぶ四大人類集団の一つとされています。主にオーストラリア大陸、メラネシアを中心としたオセアニア地域、およびスンダ列島、スリランカ、インド南部などの南アジアにかけて分布しています。

起源

オーストラロイドの祖先は、ユーラシア大陸に進出した人類の一部であり、約7万年から5万年前にインド南部の海岸地帯からスリランカ、スンダ列島を経由してサフール大陸（現在のオセアニア地域）に到達したと考えられています。彼らは、初期のホモ・サピエンスの特徴を保持しているように見えるため、かつては「原始人種」と呼ばれることもありました。しかし、遺伝子解析の結果、初期人類とは大きな隔たりがあり、西ユーラシア人（コーカソイド）または東ユーラシア人（モンゴロイド）から分岐したことが示されています。

形質的特徴

オーストラロイドは、皮膚の色が非常に濃いという特徴があります。これは、ネグロイドと同程度です。しかし、肌の色とは対照的に、髪の色が明るい、特に金髪の個体がアボリジニやメラネシア人の女性や子どもによく見られます。ただし、髪の色は成長するにつれて徐々に黒くなっていくのが一般的です。

かつては、肌の色などの外見的特徴からネグロイドに分類されることもあり、特にメラネシア人は「大洋州ニグロ」とも呼ばれていました。しかし、頭髪の性質（ネグロイドは生まれつき巻き毛であるのに対し、メラネシア人は2歳から5歳頃に巻き始める）、血液型分布などが異なるため、1960年代後半には別系統であるという説が有力になりました。現在では、アボリジニなどとともに独自のグループとして扱われています。また、最近の解析では、オーストラリア先住民とインド南部のヴェッドイドの間には、頭蓋骨の形態に大きな違いがあることが判明しています。

遺伝子

遺伝子研究によると、オーストラロイドはアフリカを出た後、「南ルート」を辿ってイラン付近からインドを通り、オーストラリアに到達した集団であることが示唆されています。人種を特徴づけるY染色体ハプログループとしては、C1b2、MS、Kなどが挙げられます。

主なオーストラロイドの民族

オーストラロイドに分類される主な民族は以下の通りです。

アボリジニ（オーストラリア人種）
メラネシア人（メラネシア人種）
パプア人（メラネシア人種の亜種）
ネグリト人種
タスマニア人種
ドラヴィダ人種（含む場合がある）
ヴェッドイド（またはヴェッダ人種）（含む場合がある）

この他にも、東南アジアの島々やインドシナ半島には、オーストラロイド的な特徴を持つ集団が散在していると考えられています。

関連情報

以下は、オーストラロイドに関連する情報です。

モンゴロイド（黄色人）
ネグロイド（黒人）
コーカソイド（白人）
人種
人種差別
インド・太平洋大語族

もう一度検索