オーストリア共産党

オーストリア共産党 (Kommunistische Partei Österreichs, KPÖ)

オーストリア共産党は1918年に設立された政党で、オーストリア国内の共産主義を代表する団体です。この政党は、当初からオーストリアの政治シーンに影響を与える存在として登場し、様々な歴史的背景を経て今日に至ります。

設立から非合法化まで

KPÖは、第一次世界大戦後の社会変動が盛んだった時期に設立されました。設立当初は労働者の権利を擁護し、社会改革を進めるための活動に注力しましたが、1933年にドルフース政権によって非合法化されます。この非合法化は、その後オーストリアがナチス・ドイツに併合される過程でも続きました。

第二次世界大戦後の復興

第二次世界大戦が終結した後、オーストリアは分割占領され、カール・レンナーが率いる暫定政府に共産党が参加することとなりました。しかし、占領地域の中にはソ連の影響を強く受けたエリアもあったにも関わらず、共産党はその後の選挙での支持を得ることができませんでした。

政党の内外の影響

オーストリアが西側諸国との関係を強めていく中で、KPÖの支持基盤は次第に縮小していきました。特にハンガリー動乱やプラハの春といった隣国の政治動乱が、党に対する支持者の信頼を揺るがす要因となりました。このような状況下で、共産党はユーロコミュニズムの路線を採用するなどの試みを行いましたが、衰退の流れを止めることはできませんでした。

衰退と新たな試み

共産党は国民議会や州議会の議席を次々と失い、冷戦の終結と東欧革命がその傾向を一層強めました。1990年以降、特にオーストリア国内の政治において存在感が薄まっていましたが、2005年にはシュタイアーマルク州の州議会選挙で久々に議席を獲得しました。また、2021年にはオーストリア第二の都市であるグラーツの市議会選挙で第1党となり、市長の座を獲得するなど、一時的な復活を果たしました。

現在の姿

現時点でKPÖは、国政レベルでは議席を保持していませんが、地域レベルでは一定の支持を集めて活動を続けています。また、欧州レベルでは「欧州左翼党」に参加しており、国際的な共産主義のネットワークの一部として存在感を示しています。

オーストリア共産党の歴史は、政治の荒波に翻弄されながらも、その存在意義を再確認しようとする努力の積み重ねの歴史でもあります。これからの活動が、どのように展開されるのか、引き続き注目されるべきでしょう。

もう一度検索