オーストリア軍

オーストリア軍：歴史と現状

オーストリア軍（Bundesheer）は、オーストリア共和国の国軍です。大統領が最高指揮官ですが、実際の権限は首相が握り、連邦国防省が管理・運営を行っています。本稿では、主に陸軍を中心に解説します。

歴史

オーストリア軍の歴史は長く、オーストリア＝ハンガリー帝国時代にまで遡ります。かつてアドリア海沿岸を支配していたため海軍も保有していましたが、第一次世界大戦の敗戦と帝国解体により内陸国となり、海軍は廃止されました。ドナウ川の警備を担当していた警備艇部隊も2006年に解散しています。

オーストリア＝ハンガリー帝国崩壊後、オーストリア第一共和国はオーストリア第一共和国軍を設立しましたが、サン＝ジェルマン条約によって厳しい軍備制限を課せられました。兵員数は3万人までに制限され、徴兵制、軍用航空機の保有、毒ガスの製造・研究なども禁止されました。

1938年のアンシュルスにより、オーストリア第一共和国軍はドイツ国防軍に編入され、オーストリア国内にはドイツ軍の軍管区が設置されました。第二次世界大戦後、オーストリアは連合国によって分割占領されました。1949年、内務省管轄下の準軍事組織であるB憲兵隊が編成され、1956年のオーストリア国家条約調印後にオーストリア連邦軍として再編され、現在に至っています。

組織

オーストリア軍の組織は、連邦国防省と連邦軍参謀本部を頂点とし、陸軍と空軍の二軍種で構成されています。

陸軍

オーストリア陸軍は、複数の旅団を基幹として編成されています。かつて存在した第3装甲擲弾兵旅団は2016年に解隊され、2019年には第3猟兵旅団が編成されました。現在、第4装甲擲弾兵旅団、第6山岳旅団（山岳猟兵）、第7猟兵旅団などが主要な部隊です。

空軍

オーストリア空軍の詳細については、別途資料を参照ください。

河川警備

ドナウ川の治安維持を目的として、1958年に陸軍内に小型警備艇部隊が編成されました。水上交通の監視が主な任務でしたが、維持費用の問題や警察による対応が可能になったことから、2006年に解散しました。現在、使用されていた警備艇はウィーン軍事史博物館に展示されています。

特殊部隊

オーストリア軍には、ヤークトコマンド（猟兵コマンド部隊）と呼ばれる特殊部隊が存在します。災害救助や特殊作戦が主な任務です。

装備

オーストリア軍の装備は、西側諸国の兵器を多く採用しています。陸軍の主力戦車はレオパルト2A4、装甲車両にはウラン、パンデュール、BvS-10などが配備されています。火砲やロケット砲、対戦車ミサイルなども配備されています。空軍の装備については、別途資料を参照ください。

まとめ

オーストリア軍は、歴史的背景を踏まえつつ、現代の安全保障環境に対応した組織編成と装備を維持しています。今後も、その役割はオーストリアの安全と安定に重要な役割を果たしていくでしょう。

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