オーティス・エレベーティング鉄道

オーティス・エレベーティング鉄道：キャッツキル山地の鋼索鉄道

ニューヨーク州パレンビル近郊のキャッツキル・マウンテン・ハウスへと至るアクセス手段として、1892年に開業したオーティス・エレベーティング鉄道は、全長2134メートル、最大勾配34％という急峻な山岳地帯を駆け上がっていた鋼索鉄道でした。それ以前、キャッツキル・マウンテン・ハウスは、長い駅馬車道の旅でしかアクセスできない、辺境のホテルでした。競合ホテルとの競争激化を受け、ホテル経営者はオーティス・エレベータ・カンパニーに鉄道建設を依頼。この鉄道は、ホテルへのアクセスを劇的に改善し、観光客増加に大きく貢献しました。

技術と運行

オーティス・エレベーティング鉄道は、914mmの狭軌を採用した鋼索鉄道でした。2両の客車「リッカーソン」と「ヴァン・サントヴォード」が、ケーブルで交互に昇降するシステムで、各車両は75名分の座席を備えていました。ケーブルは、2基のハミルトン・コーリス蒸気エンジンによって駆動。直径30cm、行程76cmのシリンダーと、マニング・パテントの垂直管状ボイラーから供給される蒸気によって、強力な牽引力を生み出していました。

客車の下部には小型の荷物車も連結。山の上下で客車のすれ違いを可能にするため、線路は途中、二股に分かれて合流する構造になっていました。これは、センターレールを共有することで、安全にすれ違いを実現する工夫でした。

この鉄道は、キャッツキル・マウンテン鉄道やキャッツキル・アンド・タナーズビル鉄道と接続しており、貨物輸送も行っていました。貨車は5～8米トン積で、客車に連結して輸送されていました。オーティス・ジャンクション駅とオーティス・サミット駅が、それぞれの鉄道と接続するターミナルとして機能していました。

運行終了とその後

1904年には路線が短縮され、1918年には3路線全てが閉鎖、解体されましたが、2両の客車は現在も残存しています。閉鎖後、客車はルックアウト山に移され、ルックアウト・マウンテン・インクライン鉄道で使用されることとなりました。オーティス・エレベーティング鉄道は、その大胆な設計と山岳地帯での運行という点で、技術史において重要な位置を占める鉄道として記憶されています。

脚注

Helmer, William F. (1970). Rip Van Winkle Railroads. Howell-North Books. ISBN 0-8310-7079-X

関連情報

ケーブルカー鉄道の一覧
Catskill Mountain System (外部リンク)
How the Otis Elevating Railway worked (外部リンク)
* Otis Elevating, at the Ulster and Delaware Railroad Historical Society (外部リンク)

もう一度検索