オーブナ

オーブナは、フランス南東部、オーヴェルニュ＝ローヌ＝アルプ地域圏アルデシュ県に位置するコミューンです。アルデシュ県の中央、谷を見渡す丘の上にあります。古くはラテン語でAlbenate、古オック語でAlbenàsと呼ばれており、その語源は標高を表す言葉に由来しています。

オーブナは、その立地から戦略的に重要な場所でした。しかし、一方で水源が乏しく、『水のない町(la ville sans eau)』として知られていました。この状況は19世紀、外部からの導水によって改善されました。50箇所以上の泉が町中に造られ、人々の生活は大きく変わりました。1863年6月28日、当時の市長ジャン・マトン主導のもと、待ち望まれた導水工事が完了したのです。

オーブナは、モンテリマールとル・ピュイ＝アン＝ヴレを結ぶ交通の要衝でもあります。アルデシュ南部とアルデシュ・ヴェルト（緑のアルデシュ）の中間に位置し、農業、経済、生活様式が異なる地域をつなぐ重要な役割を担っていました。

歴史を振り返ると、5世紀以降、オーブナの丘はル・ピュイ司教と地元住民との間で、軍事施設建設をめぐる争いの舞台となっていました。最終的に、ル・ピュイ司教が優勢となり、1084年にはこの地がモントロール男爵の封土となりました。

1441年まで、モントロール男爵家はオーブナを治め、塔や城壁、堀に囲まれた城を建設しました。オーブナ住民は、都市の経済的発展をモントロール男爵家のおかげと捉え、『モントロールの都市(la cité des Montlaur)』と呼んでいました。彼らのモットーは『最高のモントロール(Montlaur, au plus haut!)』でした。

ルネサンス期には、オーブナはユグノー（フランスのプロテスタント）の町となりました。第3次ユグノー戦争後も、王軍を城内に侵入させませんでした。しかし、1628年、モントロール侯爵夫人の夫であり、フランス元帥でもあったジャン＝バティスト・ドルナノが、ドラゴネード（ユグノーへの改宗強制）を組織し、オーブナにも500人の兵士を配置しました。毎週日曜日のミサにユグノーを強制参加させることで、1629年にはオーブナでのユグノーの信仰は終焉を迎えることになります。

現在、オーブナは多くの魅力を持つ町として知られています。イタリアのチェゼナーティコ、オランダのデルフゼイル、ドイツのシュヴァルツェンベク、スイスのシエール、ベルギーのゼルザーテ、スペインのパラモスと姉妹都市提携を結んでいます。また、技術者のレオンス・ヴェルニー、ラグビー選手のレミ・マルタン、サッカー選手や指導者であるフランク・ソゼー、アントニー・ムニエ、ルノー・コアド、レーシングドライバーのジャン＝マルク・グーノンなど、著名な出身者を輩出しています。オーブナの豊かな歴史と文化、そして美しい景観は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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