オーブリー・フィッチ

オーブリー・W・フィッチ：アメリカ海軍航空の先駆者

オーブリー・レイ・フィッチ（Aubrey Wray Fitch、1883年6月11日 - 1978年5月22日）は、アメリカ合衆国の海軍軍人であり、最終階級は大将でした。彼は、航空分野における先駆者として、その名を歴史に刻んでいます。

生涯と初期のキャリア

フィッチは1883年、ミシガン州セント・イグナスで生まれました。1902年に海軍兵学校に入学し、1906年に卒業。初期のキャリアでは、戦艦や駆逐艦での勤務を経て、水雷課程を修了しました。その後、海軍兵学校の教官として後進の育成に携わる傍ら、駆逐艦の艦長も務めました。

第一次世界大戦では、戦艦「ワイオミング」に砲術士官として乗艦し、終戦までを過ごしました。戦間期には、再び海軍兵学校での勤務の傍ら、複数の施設で検査官職を兼務。また、高速機雷敷設艦部隊を指揮し、艦長として複数の艦を率いました。

航空への転身

1929年、フィッチは46歳という当時としては異例の年齢で、飛行士としての訓練を受け始めました。1930年に初飛行を成功させると、水上機母艦「ライト」や、海軍初の空母「ラングレー」の艦長を歴任。航空畑でのキャリアを本格的にスタートさせました。太平洋戦争開戦時には、最も経験豊富な空母司令官の一人として知られていました。

第二次世界大戦での活躍

太平洋戦争が始まると、フィッチは空母部隊の指揮官として、数々の重要な作戦に参加しました。珊瑚海海戦では、「レキシントン」と「ヨークタウン」からなる第17.5任務群を指揮。この海戦は、史上初の空母同士が主力として戦った戦いとして知られています。結果として、連合国軍は日本軍のポートモレスビー攻略を阻止することに成功しましたが、「レキシントン」を失うという痛手も負いました。

その後、フィッチは南太平洋軍空母部隊の司令官として、ガダルカナル島の戦いを支援。彼は自らも危険を冒して偵察飛行を行い、作戦の基礎となる敵の航空兵力の調査に尽力しました。また、レーダーを使った夜間爆撃実験を監督するなど、新たな戦術の導入にも積極的に取り組みました。

戦後

終戦後、フィッチは海軍兵学校の校長に就任。海軍航空局の設立に尽力するなど、後進の育成と海軍航空の発展に貢献しました。1947年に退役し、1978年に94歳で生涯を閉じました。

彼の功績を称え、オリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲートの26番艦にその名が命名されました。オーブリー・W・フィッチは、アメリカ海軍航空の歴史において、決して忘れることのできない人物です。

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