オープナー (野球)

オープナー (Opener) とは

オープナーとは、主にリリーフ投手が試合の冒頭で先発登板し、相手チームの強力な打者に対抗するための戦術です。この作戦では、リリーフ投手が最初の1、2回を抑えた後に、本来の先発投手がロングリリーフとして続ける形になります。オープナーは、2018年にメジャーリーグベースボール（MLB）でタンパベイ・レイズによって初めて本格的に採用され、その後他のチームにも広がっていきました。この戦術は、特に立ち上がりが不安定な先発選手や、リリーフ陣が充実している状況で重宝されます。

歴史的背景

MLBでは1980年代まで、先発投手は5人のローテーションで固定されており、ほかの投手はリリーフとして起用されていました。それまでは、先発投手が試合の中で最も多くのイニングを投げるのが当然とされ、投球内容が良好であれば、ある程度の疲労や怪我がない限り登板していました。しかし、過去の試合においても初回にリリーフ投手を起用する事例はありました。たとえば、1924年のワールドシリーズでは、ワシントン・セネタースが先発投手を短期間だけ起用し、リリーフ投手に交代する場面が見られました。このような試みは時代を通じて散発的に行われてきました。

オープナーの普及

21世紀に入ると、野球メディアで先発投手の登板回数が多いほどその効果が薄れるという議論が盛んになりました。この背景を受けて、オープナーは2018年のMLBでタンパベイ・レイズによって実験的に導入されました。このシーズン、レイズはオープナーとしてクローザーのセルジオ・ロモを起用し、成功を収めました。オープナーの導入によって、レイズの防御率は改善し、シーズン終了時には90勝72敗という素晴らしい成績を収めました。この成功により、オープナーは他の球団にも広まり、次第に多くのチームがこの戦術を取り入れるようになりました。

日本プロ野球におけるオープナーの採用

日本のプロ野球においては、オープナーの導入はあまり一般的ではありません。2019年4月に横浜DeNAベイスターズが初めてこの戦術を試みるも敗戦に終わりました。日本のリーグは試合数が少なく、先発ローテーションも多様なことから、オープナーはあまり積極的に採用されていないとの見方が強いです。さらに、日本ではオープナーをアレンジしたショートスターターの戦略も考慮されており、先発投手が短いイニングで登板し続けるという方法が模索されています。

オープナーの利点

オープナー戦術の最大の利点は、初回に剛速球を投げるリリーフ投手が上位打線に対抗できる点です。これにより、その後抑えられれば、続く投手は打力が低下した下位打線と対戦できるため、有利な展開が期待されます。また、選手が初めて球をぶつける打者と接触することで、後の試合展開がスムーズになる可能性もあります。さらに、財務的な視点からは、先発投手に比べて年俸の安いリリーフ投手を多く起用することで、全体のサラリーを抑える効果もあります。

このように、オープナーという戦略は野球界において非常に注目されており、今後の動向が期待されます。

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