オーラヴ3世 (ノルウェー王)

オーラヴ3世ハラルドソン（オーラヴ平穏王）

オーラヴ3世ハラルドソン（古ノルド語: Óláfr Haraldsson、ノルウェー語: Olav Haraldsson、1050年頃 - 1093年9月22日）は、11世紀後半のノルウェー王（在位: 1067年 - 1093年）であり、オーラヴ平穏王（古ノルド語: Óláfr Kyrre/ノルウェー語: Olav Kyrre）としても知られています。

彼は、父ハーラル苛烈王のイングランド遠征に参加し、スタンフォード・ブリッジの戦いで父が戦死した後、ノルウェー王に即位しました。オーラヴは、国内の教会勢力との関係改善や、ベルゲンの建設などで知られています。

生涯

オーラヴはハーラル苛烈王とその妃トーラ・トールベルグズドーテルの間に生まれました。1066年、父と共にイングランド遠征に参加しましたが、当時16歳であったため、スタンフォード・ブリッジの戦いには参加せず、待機していました。この戦いで父ハーラル王が戦死し、ノルウェー軍は敗北。オーラヴは生き残った兵士と共にイングランドから撤退し、オークニー諸島で冬を越した後、ノルウェーに帰国しました。

父の死後、先に王位についていた兄マグヌス・ハラルドソンと王国を分割し共同統治を開始しましたが、1069年にマグヌスが亡くなると、オーラヴが単独のノルウェー王となりました。

オーラヴの治世は、当時としては珍しく平和な時代でした。彼は、外交を重視し、婚姻関係や平和的な交渉を通じてノルウェー王国を守りました。国内政策では、教会組織を重視し、統治制度の改革を推進しました。特に、近衛軍団の再編やベルゲンの再建は重要な成果です。ベルゲンはその後、ノルウェー王の王宮として機能しました。スノッリ・ストゥルルソンは、著書『ヘイムスクリングラ』の中で、ベルゲンはオーラヴによって建設されたと記しています。

ハーラル苛烈王の死とスタンフォード・ブリッジでの敗北により弱体化したノルウェーに対し、デンマーク王スヴェン・エストリズセンが侵攻を企てました。しかしオーラヴは、スヴェン王の娘イングリズ・ア・ダンマークと結婚することで、デンマークとの平和条約を締結しました。その後、オーラヴの異母妹インゲゲルド・ハーラルスダッテルがスヴェン王の息子オーロフと結婚し、両国の関係はさらに強化されました。デンマークはその後も攻撃的な対外政策を続けましたが、ノルウェーは平和政策を貫き、イングランド王ウィリアム征服王とも平和条約を結びました。

オーラヴは、父ハーラル王とは異なり、教会勢力との関係改善を重視しました。父はブレーメン司教の影響力に反発していましたが、オーラヴはブレーメン司教の権威を認めました。この背景には、国内の教会組織に対する政治的配慮があったと考えられています。オーラヴの改革により、司教はオスロ、ニーダロス、ベルゲンに恒久的な拠点を構え、教会政務に専念できるようになりました。また、彼はベルゲン教会やニーダロス大聖堂の建設にも関わりました。オーラヴは国王権力を強化し、ノルウェーのギルド制度を制定し、地域的な法律の策定も開始しました。Gulatingslovenというノルウェーの法律は、オーラヴの時代に制定されたと考えられています。

オーラヴ王は、1093年9月22日に病死し、ニーダロス大聖堂に埋葬されました。彼とイングリズ妃との間には子供はいませんでしたが、非嫡出子のマグヌス3世裸足王が後を継ぎました。

容姿と性格

『モルキンスキンナ』やスノッリ・ストゥルルソンの『ヘイムスクリングラ』によると、オーラヴ王は背が高く、均整の取れた容姿で、金髪と白い肌の持ち主でした。彼は無口な性格でしたが、酒を飲むとよく話しました。また、平和主義者であり、温厚で寛大な人物だったとされています。

記念碑

ベルゲンの広場には、オーラヴ平和王の記念像があります。この像は、ベルゲン市誕生900年記念式典の一環として、1998年5月21日に除幕されました。像はノルウェーの彫刻家クヌート・スティーンによって制作されました。

メイン・ペニー

1957年、アメリカのメイン州でノルウェー王国の銀貨（メイン・ペニー）が発見されました。この硬貨はオーラヴ王の時代に鋳造されたもので、コロンブス以前に大西洋を渡った交流があった可能性を示唆する学説の根拠とされています。

関連項目

ノルウェー王の一覧

外部リンク

Saga of Olaf Kyrre Part of Heimskringla
* King Olav Kyrre Sculpture in Bergen

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