オールスドルフ墓地

ドイツ北部の大都市ハンブルク、そのオールスドルフ地区に位置する「オールスドルフ墓地（Ohlsdorfer Friedhof）」は、特筆すべき規模と多様性を兼ね備えた場所です。しばしば「世界最大の公園墓地」として言及され、その広大さは世界の墓地の中でも第四位にランク付けされています。ここは単なる埋葬の地という側面だけでなく、市民生活におけるレクリエーション空間や、世界中から人々が訪れる観光名所としても重要な役割を担っています。

歴史

オールスドルフ墓地は、ハンブルク市の墓地容量の逼迫などを受け、1877年に開設されました。当時の社会情勢を反映し、特定の宗教や宗派、出身地域に限定されない、市民のための無宗派かつ多地域に対応した公共の墓地として計画されました。

規模と特徴

敷地面積は約391ヘクタール（およそ966エーカー）に及び、その広大さゆえに公園のような開放感があります。敷地内には合計12棟の礼拝堂が点在し、28万区画以上の墓地には、これまでに150万体を超える人々が埋葬されてきました。敷地内を縦横に走る道路の総延長は約17キロメートル（約11マイル）に達し、移動手段も確保されています。車両用の入り口は4ヶ所設けられており、公共交通機関を利用する訪問者向けには、ハンブルク交通連合が運行する2つのバス路線が墓地内を巡り、25ヶ所のバス停が設置されています。

公園・観光地としての側面

オールスドルフ墓地は、その美しい景観と豊かな自然によって多くの人々に親しまれています。印象的なデザインを持つ霊廟、春には見事な花を咲かせるシャクナゲの茂み、静かな水面を持つ池、多様な野鳥が集まる緑地、そして敷地内に配された彫刻作品などが、訪れる人々に安らぎや感動を与えます。また、葬儀の歴史や文化に関する情報を提供する博物館も併設されており、教育的な側面も持ち合わせています。こうした魅力から、年間およそ200万人もの人々が国内外からこの墓地を訪れており、観光地としての人気も確立しています。ハンブルク市民にとっては、日常的に散策や静思、休息のために利用される重要なレクリエーションエリアでもあります。

埋葬される人々

この広大な墓地には、非常に多様な背景を持つ人々が眠っています。埋葬者の大多数はハンブルクの一般市民ですが、第一次世界大戦や第二次世界大戦など、様々な国の戦争犠牲者のための記念区画も多数設けられています。また、ハンブルクの歴史や文化、発展に大きく貢献した著名人が多数埋葬されている「旧ハンブルク記念墓地」も敷地内に含まれています。

ここに眠る著名人は多岐にわたり、例を挙げると以下の人々が含まれます。

ハンス・アルバース（俳優）
モニカ・ブライプトロイ（俳優）
ヴォルフガング・ボルヒェルト（作家）
ハンス・フォン・ビューロー（指揮者）
ヴィルヘルム・クーノ（政治家）
ヴィリー・フリッチ（俳優）
ヘルムート・グリーム（俳優）
カール・ハーゲンベック（動物商）
グスタフ・ヘルツ（物理学者）
ハインリッヒ・ヘルツ（物理学者）
ジェームス・ラスト（作曲家・バンドリーダー）
アルフレッド・リヒトヴァルク（美術館館長）
フェリクス・フォン・ルックナー（海軍士官）
フィリップ・オットー・ルンゲ（画家）
ヘルムート・シュミット（政治家、元西ドイツ首相）
フリッツ・シューマッハー（建築家、都市計画家）
セクシー・コーラ（モデル）
カール・ゴッチェ（プロレスラー）
ルドルフ・デュールコープ（写真家）
ジェイムス・フランク（物理学者）
* マルティン・ハラー（建築家）

彼らの墓所を訪れる人々も多く、歴史や文化を感じられる場所となっています。

ハンブルク市内の埋葬のおよそ40%がオールスドルフ墓地で行われており、例えば2002年には約1600件の土葬と約4300件の骨壷による埋葬が行われました。この広大な敷地と施設は、約230名の専属庭師によって常に手入れされ、美しい状態が保たれています。

オールスドルフ墓地は、その壮大な規模、豊かな自然、そして多様な歴史的背景を持つことから、単なる墓地という枠を超え、ハンブルク市の歴史と文化を象徴する重要な場所であり、公園墓地のモデルケースとして世界的に知られています。

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