オールテレーンクレーン

オールテレーンクレーンについて

オールテレーンクレーンは、建設現場で重要な役割を果たす多用途なクレーンの一種です。トラッククレーンとラフテレーンクレーンの優れた性能を併せ持ち、自走式の特性を活かしてさまざまな地形で活躍することができます。このクレーンは、不整地だけでなく高速道路でも高い走行能力を発揮し、狭い場所の作業にも柔軟に対応できるのが特徴です。

歴史の概観

オールテレーンクレーンの歴史は1975年頃にさかのぼります。GOTTWALD社がこのクレーンの開発に乗り出し、ラフテレーン機能を搭載したトラッククレーンが誕生しました。1987年には、ドイツから75トンと100トンのモデルが日本に輸入され、オールテレーンクレーンが国内に広がりを見せるきっかけとなりました。その後、1990年には住友建機が日本初の110トン吊り機を開発しました。

特徴と設計

オールテレーンクレーンの魅力として、不整地の走行能力が挙げられます。特に、4軸程度までのシャシでは全軸駆動と全軸操舵が一般的ですが、これを超えるシャシでは一部の軸が非駆動となり、さらに複雑な操舵機構が導入されています。これにより、旋回時の取り回しが向上し、作業の効率も向上します。

また、オールテレーンクレーンは独立した運転席が設けられているため、運転しながらクレーンを操作することが可能です。これにより、安全性と操作性が向上し、効果的な作業が実現されています。

各国の市場動向

ヨーロッパ市場ではオールテレーンクレーンが大変人気であり、全体の70%を占めています。特にATF220G-5系は2008年に「Crane of the Year」を受賞したことでその名声が高まりました。一方、日本市場では道路交通法の影響を受け、最大で8軸（16輪）車が法律で認められています。このため、多くのクレーンは現場まで分解して運搬されます。

最新技術と安全機能

近年では、クレーンの軽量化が進んでおり、タダノの製品では重量が著しく軽くなっています。この軽量化により、搬送が簡易化され、作業効率も向上しました。また、高張力鋼を使用したブームの長尺化には、特別な安全機能が求められています。吊り荷の操作中に発生するたわみ感を制御するため、「リフトアジャスタ」や「リリースアジャスタ」などの技術が導入され、操作の安全性が更に高まりました。

メーカーの多様性

オールテレーンクレーンを製造するメーカーには、加藤製作所、タダノ、コベルコ建機などがあり、さまざまなモデルが市場に投入されています。特にタダノのATFシリーズは、国際市場を念頭に置いた設計がなされており、品質と性能が高い評価を受けています。メーカーごとに特色ある製品が展開されており、選択肢も多様です。

結論

オールテレーンクレーンは建設現場において不可欠な存在であり、その特異な設計や多様な機能が特徴です。今後も技術の進展が期待されており、安全で効率的な作業がさらに促進されるでしょう。

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