カウカグア

カウカグア：ベネズエラの歴史と文化が息づく街

ベネズエラ共和国ミランダ州のアセベド市に位置するカウカグアは、同市の行政中心地であり、カウカグア区を形成する都市です。首都カラカスから東に位置し、バルロベント平野の北西部、グランデ川（カウカグア川）沿いに広がる郊外都市として知られています。

歴史：カカオ農園と独立戦争

カウカグアの起源は1690年頃まで遡ります。当時、「バジェデアラグアタ」という小さな町として存在していましたが、1752年に現在の「カウカグア」へと名称が変更されました。さらに1784年には、マリアノ・マルティ司教により「ヌエストラ・セニョラ・デル・バジェ・デラ・サンタクルス・デ・カウカグア（カウカグアの聖十字架の谷の聖母マリア）」という正式名称が与えられました。

18世紀のカウカグアは、カカオ農園が盛んな地域でした。しかし、その繁栄の裏には奴隷労働という暗い影が潜んでいました。カカオ農園では多くの奴隷が働いており、奴隷人口の割合は非常に高かったのです。そのため、1811年にクリオーリョ（白人クレオール）が中心となってベネズエラ独立を宣言した際、カウカグアを含むバルロベント地域では、奴隷たちが王党派に加担して反乱を起こしました。この反乱は、1812年の第一次ベネズエラ共和国崩壊に繋がる大きな要因の一つとなりました。

独立後もカカオ栽培は続けられ、奴隷制度廃止後も大規模な農園経営は維持されました。1980年代まではアセベド郡カウカグア市でしたが、郡の廃止に伴い、アセベド市カウカグア区となりました。

文化：ユネスコ無形文化遺産に登録された祭り

カウカグアでは、毎年12月27日と28日に「聖イノセンテスのバンドスとパランダ」という独特の祭りが開催されます。この祭りは、2023年にユネスコ無形文化遺産として登録され、その文化的価値が世界的に認められました。この祭りは、カウカグアの人々の歴史と伝統を深く反映した重要な文化イベントであり、地域住民のアイデンティティを象徴する存在となっています。

地理：バルロベント平野とグランデ川

カウカグアは、肥沃なバルロベント平野の北西部に位置し、グランデ川（カウカグア川）が流れ、豊かな自然環境に恵まれています。この地理的条件が、カカオ栽培の盛んな地域となる礎を築いたと考えられます。現在も、川の恵みと平野の広がりは、カウカグアの生活に深く関わっています。

まとめ

カウカグアは、カカオ農園の歴史、独立戦争における複雑な役割、そして独自の文化祭など、多様な側面を持つ都市です。その歴史と文化は、ベネズエラの歴史を理解する上で重要な要素であり、現代のカウカグアの人々の生活にも深く刻まれています。 今後の発展と文化遺産の保護が期待される、魅力的な都市と言えるでしょう。

参考文献

Jose Marcial Ramos Guedez, Historia del Estado Miranda, Ediciones de la Presidencia de la Republica, Caracas, 1981.

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