カウディニ族

カウディニ族：古代サムニウムの一派

カウディニ族は、古代イタリアのサムニウム地方に存在した部族です。彼らはカンパニア地方の山岳地帯に居住し、カウディウムという都市を中心としていました。

概要

カウディニ族の定義は曖昧な部分が多く、その実態は完全には解明されていません。歴史家リウィウスは、ヒルピニ族と同様にカウディニ族について記述を残しており、19世紀のドイツの歴史家バルトホルト・ゲオルク・ニーブールは、カウディニ族をサムニウム人を構成する4つの部族の一つと考えていました。

カウディニ族は、サムニウム系部族の中で最も西部に位置していたため、近隣の古代ギリシア人やカンパニア系部族からの影響を強く受けていました。

ローマとの関係

サムニウム戦争に関するローマ側の記録では、カウディニ族が独立した部族として言及されることはほとんどありません。これは、サムニウム人全体を指す場合に、カウディニ族も含まれていたためと考えられます。カウディニ族の支配地域は、サムニウム戦争の激戦区であったことも、この状況を裏付けています。

しかし、帝政ローマ初期の歴史家ウェッレイウス・パテルクルスは、「カウディウムの屈辱」と呼ばれる事件について、共和政ローマがカウディニ族のガイウス・ポンティウスに敗北した事件であると記述しています。これは、リウィウスが記述する「ローマがサムニウム人に敗北した」という記述とは異なる点です。

紀元前275年、カウディニ族はコルネリウス・レントゥルスによって征服されました。レントゥルスは、この勝利を記念して、自身の家族名を「カウディヌス（Caudinus＝カウディニ族を制した者）」と改めました。

支配領域

カウディニ族の支配領域についても不明な点が多くあります。古代の地理学者グラティウス・ファリスクスは、著書の中でアペニン山脈のタブルヌス山を「カウディヌス・タブルヌス」と呼んでおり、この地域が彼らの中心地であったと考えられています。カウディニ族は、ヒルピニ族とペントリ族に挟まれた地域を支配し、カンパニア地方と接していたと推測されています。しかし、「カウディヌス」という名称はファリスクス以外には用いられず、長い年月を経て忘れ去られたと考えられています。

大プリニウスは、「カウディニ」という言葉をカウディウムの市民のみを指す言葉として定義しています。

カウディニ族の都市としては、カウディウム、カイアティア、トレブナなどが知られています。

関連項目

サムニウム
サムニウム戦争

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